第16話

 いつの間にか駅にはついていて、テンション高めな乃蒼さんと一緒にそのまま電車へと乗り込み、ニコニコと笑顔な彼女と明日の学校の授業についてなど、雑談をしていると降りる駅へと着いた。


「じゃあ、また明日」

「また明日。テスト頑張りましょうね」


 彼女に笑顔で送り出され、電車を降りる。


 あれほどニコニコとしているのは、僕が彼女の事を乃蒼さんと呼んだ時以来だろうか。


 そんなことを考えながら改札を出て、家へと向かおうと足を進めようとした時、


「幸?」


 会いたくない人に会ってしまった。


 改札を出て直ぐのところでその人は立っていた。


「ゆ、幸」

「....」


 同じ制服を着た彼女は、若干緊張した、気まずそうな顔をしながらそう言った。


 こうなることは分かっているのだからお互い知らないふりをして通り過ぎれば、僕に声なんてかけなければよかったのに。


 彼女とこうして駅で会うことは今まで何度かあったがその度に声を掛けてくるものだから疲れてしまう。


 幼馴染で家も近いから会うことがあるのは仕方のないことだが。


「今から帰り?」

「そうだね」


 彼女はそう言いながら僕へと近づいてきた。


 嫌だなとそう思いながら、若干の棘を含んだ声音で同意する。


 彼女は僕と並びながら、歩き出した。


 彼女の名前は、外囿結愛そとぞのゆあ


 僕の幼馴染であり、ぼくがかつてであり、今となっては一番苦手な人と言える。


「あ、明日テストだけれど幸は大丈夫?」

「別に大丈夫だよ」


 彼女に話しかけるも、どうにも鬱陶しく感じてしまって無意識に足が速くなってしまう。


 隣に並んだ彼女の事をちらりと見る。


 僕よりも背は低く、女子平均位の身長なのではないかと思う。顔は乃蒼さんとは違い、美人というよりも可愛いといった方がいいだろう。


 目はぱっちりと大きく、顔は小さい。色白で中学時代はかなりモテていたし恐らく高校に入ってもそれは変わらないだろう。


「ゆ、幸は数学とか苦手だったよね?よ、良ければなんだけれど久しぶりに一緒に勉強しない?」

「したくない」


 僕は彼女との距離を取りたかったから、足を速めるが彼女も僕に合わせて足を速めてくる。


「幸」

「なに」

「最近さ....霜月さんと仲がいいって話聞いたんだけれど本当?」


 彼女は恐る恐るといった感じで僕にそう聞いた来た。


 何故知っているんだとも思ったが、学校中に僕と乃蒼さんが最近一緒に帰っていることは知れ渡っているから当たり前か。


「僕が乃蒼さんと仲が良かったからと言って外囿さんには関係ないだろ」

「....それはそうだけれど」


 悲しそうな声で彼女はそう言うが、彼女がこれで悲しくなる理由は全く分からない。

 

 まぁ、僕の事を友達として接していた彼女の事だから、友達からこれほど冷たくあしらわれるのは苦しいものがあるのだろう。


 だけれど、僕はもう彼女とは関わりたくないのだ。


 関わってもこうしてお互い良い気持ちがしないのだから。


「話はそれで終わり?」

「え、あ」

「じゃあ、僕は用事もあるから走って帰る」


 特に用事なんてものは無いけれど、彼女をその場において走り出した。


 


 


 


 


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