Chapter4 第31話 アリアさんの反応

 「マスターのっ!!バカ!!」

 家に帰り、やっと休めると自室のドアを開けた瞬間、自身の召喚獣・アリア・ヴェイクト・ナハトムジークに、怒鳴られた。

 真っ先に訪れたのは混乱だった。

 「…え?何で?」

 「駿リク推せるのに…!マジで駿リク推せるのに…っ!攻めが最高で、それによる受けの反応も、ガチ最高なのに…!」

 リクオは、何がなんだかわからなかった。攻めってなんだよ?受けってなんだよ?と、思った。

 そして、それが顔に書いてあったのだろう。

 アリアはずいっ!と、顔を近づけた。

 「マスター、私が教えたげよう!攻めとは何か、受けとは何かを!」

 ドヤ顔である。

 頼んでないし、迷惑なのだがアリアは、止まることなく説明を開始した。

 「ってか、駿リクってなんなのさアリア…!」

 「よくぞ聞いてくれたマスター!!」

 アリアの、テンションが上がった。

 「駿リクってのは、カップリング名なんだよ。駿リクの駿は、駿裏さんの駿。駿リクのリクは、マスターのリク。オケ?」

 ぽかーん、である。

 ダメだ、まったくわからない。

 「…ぜんぜん、…まったく、…ちんぷんかんぷん」

 リクオは、唖然としながら言った。

 ベットに腰をかける。え?なんでかって?立ってるのが疲れたからですぅ!!

 アリアは、少し考え込んだ。

 まだ考えがまとまった様子ではなかったが、彼女は口を開いた。

 「えーっと、だからつまり。カップルとして、当てはめると。駿裏さんが彼氏ポジ。男で攻めポジ。で、マスターが彼女ポジで女で、受けポジ」

 リクオは、はい!と手を挙げた。

 「俺男なのに、なんで彼女ポジなの?…ってか俺、そーゆー趣味ない」

 ただ自分の意見を言っただけなのだ。

 それなのに。

 「チッ、マスターだからって調子乗んなよ!」と、なぜかアリアにキレられた。

 「よわい15だか、16の若造が!バカ!私から見たら赤子以下っすよ!ケーッッ!!」

 耳元で、大声を出さないでもらいたいなぁ、というリクオの淡い希望はすぐに、却下されてしまった。

 アリアが、興奮しているのだ。

 「それにね!それにね!!マスターが興味あるかどうかとかっ!我々腐女子には関係ないんすよ!!大事なのは、萌えるかどうか…っ!そうっっ!大事なのは!!きゅんきゅんできるかどうかってことーーー!!!キャァァァああ!!」

 リクオは、ため息を吐いた。

 アリアはずっとこの調子だった。常に目は開き気味、そして鼻息荒く、顔が赤い。

 …猛獣?興奮しちゃってる猛獣?とリクオは、困惑するのだった。

 そして今も。

 若干…というか、だいぶ引いていた。

 とりあえず、することはないから机に座り、適当にスマホを開いた。

 ちょっと!机って言うのは、スマホをいじるためにあるんじゃありません!と、下にいる口のうるさい叔母さまが言ってきそうだが、そんなもの知らない。

 リクオは、まさしく無敵メンタルだった。

 そう。

 一件のラインが届くまでは。

 それは、そう。

 巻島駿裏!!

 「…今かよ…」

 「何がーー!?!?」

 アリアが、飛んできた。やめてくだぱい、飛んでこないでください。とリクオは、思いながら渋々、開いた。

 その瞬間−−。

 「ィィィィイイやァァァァァァァァァァァァァァァァああああッッッッ!!ぎゃぃああああああッッッッ!!今!!たッッた今!!!全私が死滅したァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 −−うるさい極まりなかった。

 リクオは、そんな狂喜乱舞・頭のおかしくなった自身の召喚獣を見ながら、メールに目を通した。

 その内容は、端的に言うと、とても事務的な物だった。

 異世界レースの具体的な日時と場所が、記されている。

 「はにゃ?あー、マスター異世界レース出るんすか」

 騒いでいたアリアが、別人のように静かになり、リクオと一緒にメールを読んでいた。

 そんなアリアに、リクオはビビりながら「うん」と小さくうなづく。

 アリアが、口を開いた。

 「異世界レースで、ラブラブランデブーのカップル道中楽しんでくださいね!」

 嫌に、爽やかな笑顔で。

 嫌にハキハキした様子で。

 リクオは、ただ、苦笑いするしかなかった。

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