第21話 ストーカーは娘です!?
ん?
なんだか視線を感じる……?
今は買い物してる途中なんだけど。
私の格好、どこかおかしい?
その可能性も十分にあるんだよなぁ。
まだまだ女性としての心構えというか、エチケットが身に染みていないところがあるから。
でも、そういう視線とはちょっと違う気がする。
この姿になってから、男の時より視線を感じるようになったんだけど、正直わかる。
男ならついつい見ちゃうよね。
グラビアモデルさんみたいな魅惑のボディ。
このアンファンスでもトップクラスの美女だと自負しているわぁ~~~ん。うっふ~~~ん。
まあ、変なことをされなければ、いくら見られても困らないわよね。
逆にちょっと気持ちいいし。
だけど、この視線はちょっと違うのよねー。
なんていうか、チラチラと見られているんじゃなくて、じーっと監視されてる感じ。
「……はっ!」
まさか、ストーカー!?
ついに私もストーキングされるようになっちゃった……?
え、どうしよう。
ストーカーされるなんて有名人みたいじゃない!?
サインを用意した方がいい!?
ちょっと興奮してきちゃったんだけどっ!
え、え、え、どうすればいい!?
とりあえずストーカーに挨拶しといた方がいいよね?
挨拶って大事だもんね!?!?
でも、いきなりはびっくりされるかもしれないから、顔を見ておこう。うん。
「――っ!」
あ、あの……青い髪が視界を掠めたのですが……?
……えーと。
何をしていらっしゃるのですか? フリーゼさん?
なんで私に隠れて、尾行なんてしておりますの?
あなた、姿を消せる魔法を使えますよね……?
あと、ちゃっかりミーちゃんもいなかった……?
わたし、フリーゼに尾行されるようなことしたかな?
うーん、思い当たる節はないけど、無意識でやらかしてることがよくあるしなぁ。
まあ。
理由なんて後で聞けばいいんだし、ちょっとこの状況を楽しんじゃおっかな。
そうと決まれば、早速ストーカー付きのお買い物。
スタート!
「ふんふふーん♪ うちのリーたんは宇宙一♪ かわいい・スイート・ジーニアス♪ リーたんリーたんリーたんたん♪ 最強かわいい私の娘♪ リーたんリーたんリーたんたん♪」
後ろから誰かが身もだえる音が聞こえたけど、気にしない気にしない。
いつも歌いたくてうずうずしてたのよねー。
やっぱり、外でお歌を口ずさむのは気分がいいわー。
お、歌っていたら、もう最初の目的地にたどり着いた。
「鶏のおばさん、こんにちは」
「おやおや。ミースちゃんかい。こんにちは」
今の私は村のみんなに『ミースちゃん』って呼ばれてる。
男のミースとは別人って設定。
彼は土下座の修業で山籠もりしていることになってる――んだけど。
いや、よくよく考えれば、この設定は無理ない?
さすがにおかしいよね!?
アンファンスのみんな、どれだけ平和ボケしてるの!?
「鶏を丸々一羽ください」
「あらあら。今日は景気がいいわねー」
「ちょっとお祝いをしようと思いまして」
「お祝い?」
ふっふっふ~~。
「フリーゼの誕生日なんです」
「あらー。いいわねぇ。それなら、卵を5個サービスしちゃう」
「わー! ありがとうございます! やったっ! 一品増やせちゃう」
「そんなに喜んでくれるんだから、こっちもサービスのし甲斐があるわぁ」
本当、この村はいい人ばかりだなー。
「思い出すわ。あなた達がこの村に来た日のこと。いきなり子供がいっぱい増えちゃってねー」
「その節は大変お世話になりました」
「いいのいいの。田舎にはちょうどいい刺激でよかったわー」
あれ?
何かが引っかかる気が……。
まあ、いいや。
「おばさん、ありがとうございました! 今度おすそ分け持ってきますね!」
「楽しみにしてるわねー」
よし。
早速次に行こう。
って、あれ、リーたんからの視線が変わっているような……。
なんか、バカを見るような目をしてない?
わたし、そんなにバカなことしてた!?
うーん、気になるけど、次の目的地に向かうかぁ。
野菜に、牛乳に、ふわふわのパン。
色々買って、もう準備万端。
早速帰って、誕生日パーティーの準備をしないとね。
――って。
「……あ」
リーたんが転びかけてる!?
キレイな肌にキズがついちゃう!?
間に合え! 私の足、限界を超えろおおおおおおおおおおおお!!!!
「大丈夫? リーたん、ケガしてない?」
「あ、うん。ありがとう」
「どういたしまして」
は~~~。よかった~~~。
全力で走りすぎて道がちょっと壊れたから直さないと。
「任せて」
さすがリーたん。
土魔法で直してくれた。感謝。素敵。天才。かわいい!
「ストーキング、気づいてたの?」
「途中からね」
「……そうなんだ」
ちょっと悔しそう。
「それで、なんで私をつけてたの?」
「……ミースの様子がおかしかったから」
「そう?」
「ウキウキしすぎて、どこかに行きそうだった」
んー? そうかな?
私、意外と浮かれていたのかな。
でも、そうだよね。
前世以来の誕生日パーティーだもん。自然と気合が入っちゃう!
「それに、家に変な人が来て……」
「それを先に言ってよ!!!」
えっ。なに。家に不審者が来たの!?
家、無事!?!?
急いで帰らないとっ!
うわっ。
本当に家の前に誰かいるっ。
知らない顔だし、すんごいキレイな女の人なんだけど!?
「えっと、どなたですか?」
「私は領主様の使いです。あなたはミース様ですね?」
「領主様……?」
やばい。
嫌な予感がする。
背筋がひんやりとしてきた。
「フリーゼ様、ミース様。至急、領主邸へとお越しください。我が主がお待ちです」
えっと……。
私たちって、領主様に後ろめたいことがあるよね……。
領主さまから依頼された魔法でTSしちゃって、あんまりよく思われない状態だし。
私はミーちゃんを産んだせいで不敬罪になるかもしれないし……。
ま、まずいっ!
これって逃げた方がよくない!?!?
「リーたん、逃げるよ!」
「うん!」
首ちょんぱだけはゴメンだっ!
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