オラは悪くない
@kuso_Jovovich
第1話 愛
昭和59年、広島県佐伯郡大柿町の公務員ハマ山臥龍の長男として出生した甚平は父母ならびに祖父母の寵愛を受けすくすくと成長していったが、平成26年、30歳を超える頃にはまともに働きもせず実家に寄生して日々を過ごす怠け者と成り果てていた。
恵まれた家庭に生まれ、愛を受けて育ったにも関わらず何故このような状況になってしまったのか。
ダメやんけ。
本来甚平は引っ込み思案でおとなしい性格であり人から疎まれるような存在ではなかったが、長ずるにつれ傲慢で自己中心的な言動が目立つようになり次第に周囲から距離を取られ孤立していった。
この元凶こそ、家族からの愛そのものであった。
こういう事を言うと「いやそれはおかしい。愛情を受けて育った人間は真っ直ぐに育つはずだ」と反論する者もいると思うがそれは程度の問題であって甚平の場合これが行き過ぎていた。
例えばそこいらで立ち小便などしていると「かような場で排泄行為はやめろ」と注意を受けるのが通常であるが、甚平の場合は往来で小便を垂れているのを祖父が見かけるなどした場合、「1人でおしっこ出来て偉いな、甚平」などど褒めそやすなどしてまともな指摘を受けて育ってこなかった為、甚平は成長とともに自分のやる事は全てが正しく、優れた人間であるという間違った自己認識を増長させていった。
そうは言っても世の中というのは良く出来たもので学校などである程度の社会性を学べるように出来ており、例えば足が速い、頭が良いなど他人の能力を観測する機会があるため、それと比較して自分が劣っていた場合、自分は全知全能だと思っていたがそんな事はなかったななどと自己認識を改めていくものであるが、甚平の場合居住地が瀬戸内の島嶼部のクソ田舎と言う事もあり、学級の人数がそもそも少なく、比較対象が少ないのも災いして自分が優れた存在である事を微塵も疑わなかった。
また甚平の場合、年の離れた妹が生まれたのも良くなかった。何も出来ない赤子を前に甚平は「俺はコイツと比べてさまざまな事が出来る、やはり俺は素晴らしい」などとアホのようなマウント思考を広げていた。
転機が訪れたのは平成6年。
臥龍の転勤が決まり、一家は大阪に引っ越す事となる。甚平10歳の時であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます