Ice lolly3⋈②
「…あの、仲間は?」
私は目線を逸らしながら問う。
「…まだ来てない」
じゃあ、今、ふたりきり?
どうしよう。
涙出てきちゃった。
私は涙を見られたくなくて、
扉の方に体の向きを変える。
「…
涙、お願い止まって。
……あ、
ウエストのリボンほどけそう。
「…リボン、ほどけそうだな」
私はドキッする。
「…心にもリボン絡まってるんだっけ?」
え?
『…ほんと心に絡まったリボンほどいて欲しい』
昨日、ベランダで
聞こえていたの?
私の顔が、かぁぁっと熱くなる。
「あ……」
私の体を覆うように後ろから右手が伸びてきて、扉に突いた。
「…ウエストのリボン、完全にほどけたな」
「…
「…心のリボンも俺がほどいてやろうか?」
甘い言葉。
ほどけるのなら、ほどいて欲しい。
だけど……。
「まだ、ほどかないで」
「…そう、じゃあ」
「…少しずつほどいてやるよ」
後ろから左腕でぎゅっと私を抱き締める。
あ、抱き締められ…。
「…黙って家出てくんの勇気いっただろ」
「…“
「うん…」
「いつも大事にしてもらってるのに」
「私、裏切って…」
「…よく頑張ったな」
そんなふうに言われたら、余計に涙が止まらなくなる。
部屋に来たのは今日が初めて。
なのにずっとこのままでいたいって思ってしまう。
「…あー、やばい」
「え…?」
私は
その瞬間、甘い唇が近づいてきた……。
ガチャッ。
部屋の扉が開く。
「
黒髪の男の子が言う。
え……。
仲間と思われる3人が驚くと、
黒髪の男の子が
「…ごめん」
「
「…お前、絶対わざと開けただろ」
あ、黒髪の男の子と目が合って…。
「あれ? 君って2年C組の前にいた子?」
「え?」
――――ウチのクラスになんか用事?
昨日の優等生美男子の言葉が脳裏に浮かび上がった。
「…あ」
「もしかして昨日声をかけてくれた…」
「そうだよ」
まさか、
「雰囲気が違うので全く気がつきませんでした」
「…こいつ高校では猫被ってるから」
「ん?」
黒髪の男の子が、にっこり笑いながら聞き返すも
「…
「…俺と同じ2年C組の」
「…
さらさらの黒髪、
少女と見まがう線の細い顔立ちなのは変わらないけど、
高校での爽やかさも持ち合わせたミステリアスな雰囲気に、
落ち着いた物腰の優等生美男子とは変わって、
色気のある不良男子な感じ…。
「よろしく」
「…
ハニーブラウンの髪、
元気があふれてて、
イケメンで可愛さもある兎っぽい男子…。
「よろしく~」
「…
「…
「え…!?」
私が驚くと、
「こうやって紹介されると恥ず〜」
肩までのピンクブラウンの髪、
明るくて可愛い美少女で、
ハートの女王ぽさもある…。
「
「よろしくね」
「あ、うん、よろしくお願いします」
「私は
「ありす?」
「…………」
なんだろう?
そんなに名前、おかしかったかな…。
「なるほどね、それで仲良くなったのか」
「それで仲良く?」
私は聞き返す。
「可愛い名前だから
え、可愛…?
「ね、
「…
「
「てか、お腹空いたんだけど」
「そう言うと思ってカップラーメン持ってきたよ」
「さっすが
「マジで!? 俺も」
「…じゃあ今日、ノンアル缶酎ハイあるし」
「…カップラーメンとサワーのアイスキャンディー食べるか」
「じゃ、上がろ」
「
「俺も」
3人は玄関で靴を脱いで上がっていく。
「…
2回目の“おいで”
しかも電話越しではなく生声で。
「…うん」
私もドキドキしながら靴を脱いで上がり、
ベランダに続く扉のカーテンは閉まっていて、
テレビにテーブル、ノートパソコン、ソファーがあり、
シンプルな居間だけどオシャレに見える。
「…ソファー使って」
「…いつも俺が寝てるやつで悪いけど」
え?
ここで寝て?
「部屋は…?」
「…俺の部屋はあっち」
「…だけどここで寝落ちが多い」
「そうなんだ…」
だったらなおさらドキドキして座れない。
「私も床に座るから大丈夫」
「そう」
テーブルの前にすでに座っていた
「…じゃあ飲み物取ってくるわ」
初めての缶酎ハイとカップラーメン楽しみだな。
*
「今日ノンアルなの、ありすちゃんの為だったんだね」
数分後。キッチンの冷蔵庫を開けた
「いっそのことアルコールで酔わせて襲えばいいのに」
「出た〜猫被ってない
「ん?」
「…お前じゃあるまいし、ねぇよ」
悪魔のような表情に変わる。
「てかさ、これからどうするつもり?」
「暴走族
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