第3倭 ススウシ事件とイヅモへの帰還

ヤチホコ:毎日生き残るために必死な修行の合間、祭司の中心となる

     ここヤマタイでも行われるイノミのため、本日はその準備のお手伝いに

     来ております。

     おかげで修行を少し早めに切り上げてくださりましたので…

     ほっとひといきです♪

     楽しく飾り付けをしたり、エウァクシロルケ神が鎮座する所の準備をします。

     こういったことには不慣れなのかよろけて落ちるミヅチを

     ムカツヒメさまが受け止めたり、のんびりしすぎた僕が

     スセリちゃんに怒られたりしながらではありますが…頑張りました。

     …今日はしっかりと確認をしてからこっそりと眺めに行きます♪

     ミケヒコも誘ってみたけど全く興味ないみたいでしたが…

     万一見つかったときに逃げるのはいい修行になると伝えてみましたら…

     それならばとついてきました…!。

     ミヅチはまだ小さいのでそういう意味じゃなく…

     キクリちゃんしか興味ないようです…。

     ただかくれんぼが楽しそうなのでついて来るそうです…。

     僕は…僕はどうなのでしょう…?

     …またスセリちゃんの見たらあんな気持ちになるのでしょうか?

     それも含めておもむろにご拝見です~♪

     …とても小さいポンメノコ小さな女の子が…います…?

     これまた壊滅的になだらかと言うか全く起伏が…あ! ま、廻れ~右!


????:「おっそ~いですわ!」


ヤチホコ:素早く黒く長いナニカに僕は拘束されました!

     あ、すごい! ミケヒコはかろうじて躱しています。

     僕と違い三本も襲いかかっていますのに!

     あ、4,5! ああ!!



????:「あぁらぁ~オノコらしくって元気でよろしいことですわ♪」


ヤチホコ:…よりによってこのヒトに見つかるとはです…。


????:「コソコソ覗き見などせずにさぁさぁど~ぞご覧くださいませ♡」


ヤチホコ:そう言うと声の主はなんの臆面おくめんもなく勢いよく湯から上がり、

     縛り上げられた僕たちの眼前に裸体をさらけ出します。

     と、言いましても…キクリちゃん未満で一体どこをどう喜べばいいのか

     悩ましいくらいのポンメノコっぷりです…。

     ため息混じりに当たりを見回しますと…

     ああ♪ 皆様これから入られるところのようです♪

     …う、動けません…向こうに行きたいのに全くびくともしません…!

     賑やかに一同が入ってきたところで勢いよく眼前に投げ出されました。


????:「ふふふ♪ たまにはメノコに見られるのも悪くはありませんこと?」


ヤチホコ:「えぇ!? や、そんなぁ! ミヅチのおかあさまって一体どういう

      性か…むぐぐ(ま、全く動けません…!)」


語り部 :拒むヤチホコのイレンカヲモヒに対し身体は全く言うことを聞いてくれない。

     どう見ても幼児にしか見えない彼女はどうやらミヅチとキクリの母、

     クシナダの様だ。あのオオトシも彼女の子だと言うが…現状の姿からは

     想像し難い。


ヤチホコ:そんなことよりもです! なんでよりによってこんな格好で

     僕は醜態しゅうたいをさらされないとならないのでしょうか?

     見つかっちゃったと照れ笑いしているミヅチ、

     逃げ切れないことの悔しさでいっぱいのミケヒコにはさまれて

     僕だけ次から次へとあられもない姿をさせられています。

     …キクリちゃん…スセリちゃんまで…!

     それでは指の隙間から丸見えです~!


大日霊女:「ふふっクシナダ、その辺で許しておやりなさい」


語り部 :そのムカツヒメのイタク言の葉に少し残念そうながらもクシナダは


クシナダ:「まぁそうですわね~。このあたりで勘弁して上げましょう♪」


語り部 :音もなくしなやかな動きで黒い長いナニカ…

     クシナダの髪がヤチホコたちの体から解かれていく。


クシナダ:「メノコのアトゥスパ裸体が見たいのでしたら…

      アタクシのを見せて差し上げますわ♪」


語り部 :にわかに霧がかりナニカがうごめいているように見え、

     晴れたと同時にそこに現れたのは…細身ながらもしなやかで

     柔らかさをまとい美しく緩やかでなだらかながらしっかりと膨らみを

     携えたピリカメノコのアトゥスパが顕れた。


ヤチホコ:…僕よりも少しだけ年上と思われるその緋徒は…

     およそヲノコならば見とれて釘付けになる美しさでありました…♪


ヤチホコ:「え? えええ? ク、クシナダさま?

      そ、そんなことってあるのです~!」


クシナダ:「うふふっ♪ 先程までの姿でどの様にして我が背と

      契り叶うというのでしょう♪」


語り部 :ムカツヒメの成熟された大人の女性の姿とは好対照な永遠の

     ピリカメノコ像と呼べるものがそこにはあった。


ヤチホコ:「…しかし…これはホントに…ステキです…♡ うん?

      あ、あだだだだ!」


語り部 :捻り上げられた手の先を見やるとそこには…


ヤチホコ:「は…はぅわわ! ス、スセリちゃん!!!」


スセリ :「…ボ、ボクだって負けてない!」


語り部 :そう言うとスセリのからだからゆるやかに湯浴み着が滑り落ち

     その白い肌が宵闇を照らす月明かりに美しく浮かび上がる。

     マッネラゥ牝鹿のような引き締まった中にも柔らかさを

     合わせ持ち、クシナダ同様慎ましやかでなだらかながらも

     確かに存在する一双の丘陵に目を奪われる。


ヤチホコ:「…綺麗です…」


語り部 :不意にヤチホコは見てはならぬものを見たときのような…

     何かを思い出す既視感を観ずる刻のようななんとも言えない

     違和感に襲われた。

     苦しそうな面持ちのヤチホコに対し皆に動揺が走る。

     ムカツヒメまで…見せたことない表情を見せている…?


スセリ :「ヤチ! 大丈夫? どーしたの?」


ヤチホコ:「さてはボクの魅力に…」などの冗談もないということは…

      結構辛そうなのか…な…ぼ…く…。


語り部 :ヤチホコは眼の前がゆっくりと白く染まっていき…

     視界が大きくぐらりと傾き…。


スセリ :「…気がついた? ヤチ!良かったぁ!」


語り部 :一糸まとわぬ肌が眼前に飛び込んできて、

     開きかけた視界が塞がれてしまった。


ヤチホコ:…この感触と…このトゥムの気配は…スセリちゃん…。


語り部 :そう思った後ヤチホコが周囲を見渡すと、

     一同が囲んで神妙な面持ちで覗き込んでいた。


大日霊女ヲヲヒルメ:「…気が付きましたね。…どうやらススホスキ湯あたりしたようですね」


ヤチホコ:ムカツヒメさまです。…いつもの穏やかな佇まい…。

     …? さっき…いつもは見ないような表情をされていた気が…?

     …! あ、サパハアラカ頭痛がする! 頭が割れるように痛い!?

     …そうでした…こうなった時はいつも決まって目が覚めた後

     頭がすごく痛かったですね…。どうしてかはわかりませんが…?

     …? キクリちゃん? ミヅチ? ミケヒコ…?


キクリ :「…ウェンペキチガイ!」


ヤチホコ:「…え?」


クシナダ:「キクリ!」


語り部 :クシナダガキクリをたしなめる。


キクリ :「…だって…フツーじゃない!」


ミケヒコ:「アレは絶対何かに取り憑かれているぞ!」


ミヅチ :「ミヅチは…こわくないよ?」


ヤチホコ:ああ…そうでした…始めてみたらこうなるんでしたね…。

     「…ごめんなさいね、驚かせてしまったみたいですね。

     でもですね…僕…悪い緋徒フィトじゃないですよ♪」


語り部 :更になにか言わんとするキクリを縛り上げてクシナダが言った。


クシナダ:「はじめてでしたからね…この子たちは」


ヤチホコ:「大丈夫です…。みなさんそうですから。…みんなごめんです!

     せっかくのステキなごほーびの真っ最中に!

     クシナダさまもスセリちゃんもあまりにステキ過ぎました♪」


語り部 :それでもまだ思うところがありそうな三人の前に…

     静かにクシナダが歩み出て躊躇なく湯浴み着をほどいていく…。


クシナダ:「左様でございましたわ! …今度はしかとご覧くださいませ♡」


ヤチホコ:クシナダさま…皆の気を逸らす為に…。でも…まさか…

     もしかして…見られることも…お好きなのでしょうか…?


語り部 :例によって見とれてしまい、しばし後ハッとして我に返った

     ヤチホコが横目に見やると…指を加えて物欲しそうに見ている

     ミヅチと呆然としたまま凝視しているミケヒコがみてとれた。


ヤチホコ:…ミヅチはまだトノン乳を飲むしたいのかな? ミケヒコは…

     少し目上の方が好みなのかもしれませんね♪


    「ありがとうございます! 今宵はステキなものを拝見させて

     いただきました♪」


クシナダ:「うふふっ♪ ステキ過ぎてどうしようもない時は…

      お声掛けされてくださいね♡」


語り部 :ヤチホコは耳まで赤くなり、参りましたと答えるのが精一杯であった。

     皆が寝静まり夜も更けた頃、一つのチセに三人の人影が集まっていた。



クシナダ:「…封は…解かれてしまったのでしょうか…?」


タギリ :「いえ…封印はまだ生きています…!」


ムカツ :「…確かに…刻は迫っているやもしれません」


クシナダ:「神前カムイキリサム比武=コラムヌカラによって動き出すことになるかもしれませんわ…!」


タギリ :「そうなると…彼らは永い旅路を歩み始めるのですね…」


ムカツ :「左様でございます。我ら望みし…廻り来る生と死…その先へと…」



ヤチホコ:あれからも生きた心地のしない修行とその合間の準備の手伝いに

     明け暮れて…気がつくとイヅモに戻る日はもうすぐそこでした。

     色々ありましたが…自分でもだいぶ強くなれた気がします…!

     少しだけ気になるのはウガヤ兄の言の葉でした。


ウガヤ :「よし…これで少なくとも皆、輪をめぐることはなかろう!」


ヤチホコ:そ、そんなに厳しいのでしょうか? イノミの一環…

     余興行事として行うものなどではないのですね…。

     …覚悟も決まりイヅモ出立の日を迎えました。


語り部 :ヤレパチプ大型陸船に一同乗船しイヅモに向かう。

     陸を進むこの船は…よく見ると大地より少し浮かび上がることにより

     帆に受ける風の力で進むことが出来る。


ヤチホコ:不思議に思いますのは…乗る人数が多いほど速いということです。

     知らずの内に皆のトゥムを進む力に変えているらしいです…。

     それと…トカㇷ゚チュㇷ゚=カムイ天に輝く日之神威強き日も速いそうです…?

     今日はとても良い天気ですので…すごい速さで進んでいきます♪

     この間こちらに来たときよりも断然速いです!

     …もしかして僕たちだいぶ強くなったのでしょうか?


語り部 :少しの緊張感とそれを大きく上回る高揚感を胸に一行はイヅモを目指す。


ヤチホコ:「皆さん見えてきました!イヅモです!」

     …帰ってきましたね…イヅモに…。

     いつものチセのいつもの部屋に行き明日のために早めに休みます…。

     …あ、はい…じゃぁいつものとおり一緒に寝ましょうねスセリちゃん…。

     もう眠っています…。僕と違ってほんとにラムエトク度胸や大胆さがありますね…♪

     僕も…明日の為に眠ります…お休みスセリちゃん…

     エウコトゥマム家族を抱いて寝るでね…。     

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