異世界転生した冒険者の異世界冒険譚
水無月ジュン
転生者と始まりの村
第1話 目が覚めたら動物小屋でした。
モー。モー。
動物の鳴き声が聞こえてくる。
「う、うぅん……」
ゆっくり目を覚ますと、見知らぬ天井が見えた。目を見開き、勢いよく状態を起こして、ゆっくりと周りを見渡す。いつもの自分の部屋ではなく木造の簡素な屋根に木が並べられた壁があった。手をつくと違和感があり下を見ると藁があった。
「ここは……」
俺はパニックになって父親と母親の名前を呼ぶ。しかし返って来たのは目の前にいる動物の鳴き声だった。
『……イ。……テルカ?』
何処からか声がする。俺は慌てて見回すが誰もいない。
『オイ! キコエテルカ! ヘンジシヤガレ!!』
さっきより鮮明に聞こえてくる声。その声は直接、頭の中に響いていた。
『……ッタク。ヨウヤクメザメタカ』
呆れた声で言ってくる声。
「お前は誰だ?何処にいる!?」
『アァ?ドコッテ、オマエノナカダケド?』
俺の中?訳の分からなさに戸惑っていると、声はある事を思い出したような声を出す。
『アァ……。コレガアノクソメガミガイッテイタフクサヨウカ』
面倒くさそうに頬をかいている仕草を感じる声で声は納得したようだ。
「何一人で納得してるんだよ!こっちにも分かるように説明しろよ!」
『ハイハイ。ワカッタヨ、アイボウ。……ジャア、サイショニ、テニケンヲヨビダスカンジデ、チカラヲイレテミナ』
「手に剣?よく分からないけどゲームの感じで良いのか」
『ン?マァ、ソンナカンジ』
適当な事を言う声に苛立ちながらも右手に力を込める。すると、肘から下が熱くなり何かが生まれてくる感覚がした。手の平に光球が集まるとやがて形を成していき、一本の剣が右手に握られていた。
『ヤットデラレタ。オイ、アイボウ、オキルノガオセエヨ』
頭の中に響いていたと声と同じ声が剣から聞こえてくる。
「お前が、俺の相棒?」
『オウ。コレカラ、イロイロトタイヘンナコトガオキマクルガ、スエナガクヨロシクナ、アイボウ』
顔があったらニカッと笑ってそうな感じで剣が言ってくる。色々と質問しようとした時、何かが入ってくる音がした。そちらへ振り向くとそこそこ年がいってそうな男性が立っていた。
「お前、そこで何をしてる!!」
男の怒鳴り声にヤバいと本能的に感じた俺は、男性と反対方向へ駆け出していた。
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