誰からも嫌われるモブに転生したから全力で好かれに行ったのにめっちゃ嫌われてるんだが!?
犬好杉夫
第1話 不良モブ
『私の「愛してる」を、受け取ってくれますか?』
「うおおお桜ちゃーーーん!!!」
俺、井上タクミは今、猛烈に感動していた。最高の神ゲー「わたあい 〜私たちの愛してるを捧げたい〜」の最推し、最上桜からの告白エンディングをこの目に収めることができたからだ。
「ここまで...ここまで長かったァ....」
わたあいが神ゲーたらしめている所以は単にキャラの魅力だけでなく、それを引き立たせるやり込み要素だ。ヒロインとのデートシナリオはゆうに100を超え、デート以外にもヒロイン毎に好感度アイテムが様々あったりとプレイヤーを飽きさせない工夫がこれでもかと詰め込まれている。
「桜ちゃん、デートに漕ぎ着けるまで好感度最大近くまであげなきゃいけなくて大変だったなぁ…。あんまり自分を出さないから好きな物もわかるまで結構かかったし。...でもこの笑顔を見れたんだ、全然苦じゃなかったぜ」
満足感と達成感に浸りながら、これまでを思い出す。
「そういやあいつ、クソウザかったなあ。なんだかんだ終盤までちょっかいかけてくるし。ストーカー容疑で逮捕なんて終わり方するとは思わなかったけど...」
あいつ、と言うのはわたあいのお邪魔モブ、日向雄介のことであり、こいつが本当にウザイ。特に腹が立ったのは3年生進級イベント時、進級テストは賢さのステータスをあげておけば基本落ちることはないのだがさすがお邪魔モブ、実家が太く、教師陣に圧をかけ俺たちを落第させようと画策してくる。
『なぁ桜、もし進級できなきゃてめぇの家も世間体がまずいだろ?俺にかかりゃ点数なんてどうとでもできるんだ。落第が嫌なら...わかるだろ?』
今思い出しただけでもイライラする。元々、こいつの設定は一目惚れした桜が幼馴染の主人公と仲良さげにするのが気に食わず、何とか奪おうとしてくる存在だった。今覚えばあいつがまっすぐ桜にアタックしていれば結果は変わっていたのだろうかと思ったが、結果は変わらんだろうと思った。所詮これはゲーム、どうあっても主人公が勝つようにできている。
「...腹減ったな。冷蔵庫にゃたしか何も無かったはずだし、めんどいけどコンビニまで行くかな」
家を出る。締め切った部屋にい続けた故、照りつける太陽が異様に眩しく見える。その時、
ププーーー!!!
目が眩んですぐそこまでに迫る車に気づかず、跳ねられた衝撃で俺はそのまま意識を失った....
__________________________
夢を見ていた。それはそれはおかしな、日向雄介の人生を歩む夢。両親からは過保護なまでの愛情を注がれるが、過干渉な親を疎ましく思う気持ちを持ち始め、仕舞いには道をはずれ非行に走ってしまった。
喧嘩やカツアゲは日常茶飯事、何度も警察の世話になるが両親は過干渉を続ける方針を変えることはなかった。
中3のころ、ガタイが良かった雄介はホテル街で女性に逆ナンされ、初めて女を抱くことになる。それからというもの、思春期の気が災いし手当たり次第に女性に手を出し続ける。幸い雄介は顔だけは良かったので、女には困らなかった。しかしここで事件が起きた。
雄介が抱いた女性の1人に妊娠が発覚したのだ。女性には口止めとして両親から多額の金が支払われ子供は堕された。これにはさすがの両親も見限るかと思ったが、父は孫ができたと喜ぶ始末、母は少し叱ろうとしていたが結局父に同調していた。これから雄介は増長し、どんどん調子づくことになっていく___________________________
「ゆうちゃーん、起きてぇ、朝よー!」
猫なで声の知らない女性の声、病院かと思ったがそうではなく、奇抜ないかにも不良が好みそうな壁紙の部屋で俺は寝ていたようだ。
(ゆうちゃん?誰だそれ。俺はタクミだから「ゆう」なんてつかないし、そもそもここどこなんだ?)
混乱する俺を他所に、先程の声の主が部屋に入ってくる。
「もうゆうちゃん!朝ごはんできてるんだから、早く降りてらっしゃい。ママもうお仕事だから遥と一緒に食べるのよ。」
「は、はるか?てか、ゆうちゃんゆうちゃんて...」
「もう、寝ぼけてるの?あなたは雄介、遥はゆうちゃんの妹でしょ?」
「は?」
その時初めて部屋の隅の鏡に映る自分に気づく。その顔は紛れもなく、ひたすらイベントの邪魔をしてきた...
「日向雄介じゃねえかぁぁぁ!!!!」
「え!?ちょ、ゆうちゃん!?」
心配する女性を気にする余裕もなく、俺は頭を抱えるのだった。
___________________________
あとがき
頭の中で構想はなんとなくできてるから流れで書いてみたけどそれっぽくできたんじゃないか?1回書いてみたかったからすごい書いてて楽しい。次回もお楽しみに。by犬好
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