第20話 やべー女たちの理想郷

「ついに...完成したわね」


エリザベートが感慨深げに街を見渡した。黒のワンピースドレスが風になびき、スリットから美しい脚が覗く。


1年が経ち、パラダイス・シティは立派な街になっていた。


住宅地、商店街、公園、学校まである。


「信じられない...本当に街ができた」


真一も感動していた。


「みんなのおかげよ」


セラフィーナが微笑んだ。純白のドレスが朝日に輝き、透けた生地から白い下着が見える。


* * *


しかし、その朝、予期せぬ訪問者が現れた。


「国王陛下の使者として参りました」


立派な馬車から、威厳のある役人が降りてきた。


「この違法な街を、即刻解散せよとの命令です」


「違法!?」


美月が驚いた。白いブラウスの胸元が、動揺で激しく上下する。


「許可なく街を作り、危険な者たちを集めている」


使者は冷たく言い放った。


* * *


「危険なんかじゃない!」


アルケミアが抗議した。紫のチューブトップから、怒りで赤くなった肌が見える。


「みんな平和に暮らしてるのに!」


「魔族、淫魔、狂った聖女...」


使者は嫌悪感を隠さない。


「こんな者たちの集まりは、国の秩序を乱す」


「ひどい...」


リリシアが泣き出した。ゴスロリ服の胸元を押さえながら。


「やっと居場所ができたのに...」


* * *


「3日以内に解散しなければ、軍を送る」


使者は最後通告を残して去った。


重い沈黙が流れる。


「どうしよう...」


リリスも珍しく落ち込んでいた。黒のタンクドレスが、肩から落ちそうになっている。


「戦う?」


「ダメよ。それじゃ本当に危険集団になっちゃう」


エリザベートが冷静に言った。


* * *


その時、意外な声が上がった。


「待ってください!」


街の住人たちが集まってきた。


元勇者のレオンを先頭に、この1年で移住してきた人々。


「この街を潰させません!」


「ここは私たちの家です!」


呪いで村を追われた魔法使い。


愛する人を失った元騎士。


普通と違うことで迫害された人々。


みんなが立ち上がった。


* * *


「でも、相手は国よ」


真一が心配そうに言った。


「だからこそ」


レオンが前に出た。


「俺が王都に行きます。国王に直談判する」


「レオンさん...」


「元勇者の肩書き、最後に役立てます」


「私も行くわ」


セラフィーナが名乗り出た。


「光の教会の聖女として」


「じゃあ私も」


「私も!」


結局、全員で行くことになった。


* * *


王都への道中、真一は考えていた。


この1年、本当にいろいろあった。


やべー女たちに振り回され、命の危険もあった。


でも...


「楽しかったな」


「何か言った?」


エリザベートが振り返った。


「いや...みんなといられて、楽しかったって」


7人の顔が輝いた。


「真一...」


「これからも、ずっと一緒よ」


「うん」


* * *


王城で、国王への謁見が許された。


「陛下、お願いします」


レオンが頭を下げた。


「パラダイス・シティを認めてください」


「なぜそこまで...」


国王が問うた。


そこで真一が前に出た。


「陛下、あの街は...理想郷なんです」


「理想郷?」


「人間も、魔族も、天使も、みんなが笑顔で暮らせる場所」


真一は熱く語った。


やべー女たちとの出会い。


街づくりの苦労。


そして、そこで生まれた絆。


* * *


話を聞いた国王は、しばらく考え込んだ。


そして...


「面白い」


意外な言葉だった。


「実は私も、種族の対立に心を痛めていた」


国王は立ち上がった。


「パラダイス・シティを、特別自治区として認めよう」


「本当ですか!?」


「ただし、定期的な視察は受けてもらう」


「もちろんです!」


歓声が上がった。


* * *


帰り道、みんな喜びに包まれていた。


「やった!街が認められた!」


アルケミアが飛び跳ねる。チューブトップがずり落ちそうで危ない。


「これで安心ね」


美月も安堵の表情。天使の羽が喜びで輝いている。


「真一のスピーチ、素敵だったわ」


リリスが真一の腕に絡みつく。


「みんなのおかげだよ」


真一は照れくさそうに言った。


* * *


パラダイス・シティに帰ると、住人たちが総出で出迎えた。


「おかえりなさい!」


「街は守られたんですね!」


喜びの輪が広がる。


その夜、盛大な祝賀会が開かれた。


「かんぱーい!」


「これからも、この街を大切にしていこう」


エリザベートの言葉に、全員が頷いた。


* * *


深夜、真一は一人で街を歩いた。


静かな住宅街、賑やかだった商店街、みんなで作った公園。


全てが愛おしい。


「真一?」


振り返ると、6人の女性たちが立っていた。


「みんなも眠れない?」


「だって、興奮して」


「これからのこと考えると」


「もっと素敵な街にしたい」


みんな同じ気持ちだった。


* * *


「なあ、みんな」


真一が言った。


「これからも、ずっと一緒にいてくれる?」


「当たり前じゃない」


エリザベートが笑った。


「だって、私たちは家族でしょ?」


「そうね」


セラフィーナも頷く。


「ちょっと変わった家族だけど」


「やべー家族!」


アルケミアが言って、みんなが笑った。


月明かりの下、7人は手を繋いだ。


やべー女たちと築いた、理想郷。


これからも、ずっと一緒に。


真一は幸せだった。


普通じゃないけど、最高の人生。


やべー女たちと共に歩む、素晴らしい未来が待っている。


【完】


~やべー女たちの理想郷 第一部完結~


第二部予告:

新たな住人が続々と!

でも中には本当にやばい奴も...?

「世界征服したいんですけど、部屋ありますか?」

第二部もお楽しみに!

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