第19話 最初の住人は元勇者
「ついに完成したわ!」
エリザベートが誇らしげに新築住宅を見上げた。黒のビジネススーツだが、スカートは相変わらず短く、ガーターベルトが見え隠れしている。
「第一号住宅!」
美しい一軒家が、朝日に輝いていた。
「すごい...本当に街ができていく」
真一が感慨深げに呟いた。
「それで、入居希望者は?」
美月が書類を確認する。白いサマードレスが風になびき、レースの下着が透けて見える。
「実は、もう決まってるの」
* * *
入居者がやってきた。
「初めまして...元勇者のレオンです」
現れたのは、疲れ切った表情の中年男性だった。
「元勇者!?」
セラフィーナが驚いた。白いローブから覗く太ももが、驚きで震えている。
「はい...10年前に魔王を倒して引退しました」
レオンは力なく微笑んだ。
「それで、なぜここに?」
アルケミアが興味深そうに聞いた。紫のタンクトップから、汗でブラ紐が透けている。
* * *
レオンの話は切実だった。
「魔王を倒した後、普通の生活に戻れなくて...」
勇者として崇められ続け、普通の仕事につけない。
結婚もできず、友人もできない。
「みんな私を『勇者様』としか見てくれなくて」
「それは...辛いわね」
リリスが同情的に言った。黒のキャミソールドレスで、胸元が大きく開いている。
「でも、ここなら...」
レオンは7人を見回した。
「やべー女たちの街なら、元勇者でも普通でいられるかと」
* * *
「歓迎するわ!」
エリザベートが握手を求めた。
「家賃は月5万で...」
「安い!」
「まあ、第一号だから特別価格よ」
契約はすぐに成立した。
「ところで」
リリシアがおずおずと聞いた。黒いゴスロリ服の裾を気にしながら。
「魔族の私がいても...大丈夫ですか?」
「ああ、全然」
レオンはあっさり答えた。
「魔王を倒したけど、魔族が嫌いなわけじゃないから」
* * *
引っ越しの手伝いをしながら、レオンの荷物を見て驚いた。
「これ...伝説の聖剣!」
「ああ、もう使わないから物置に」
「もったいない!」
アルケミアが目を輝かせた。
「研究させて!」
「いいけど...」
「勇者の鎧も!」
セラフィーナも興奮している。
「聖なる加護が...」
元勇者の装備品に、みんな興味津々だった。
* * *
夕方、歓迎パーティーが開かれた。
「かんぱい!」
「あの...いいんですか?こんなに歓迎してもらって」
レオンが恐縮している。
「当然よ」
美月が微笑んだ。浴衣姿で、襟元から白い肌が覗く。
「最初の住人ですもの」
「それに」
真一が言った。
「ここでは、みんな普通の隣人だから」
レオンの目に涙が浮かんだ。
「ありがとう...本当に」
* * *
宴会が進むにつれ、レオンも打ち解けてきた。
「実は魔王、最後に言ってたんです」
「なんて?」
「『人間も魔族も、仲良くできる日が来るといいな』って」
全員が静かになった。
「だから、この街は...魔王の願いも叶えてるのかも」
リリシアが感動で泣いていた。
「ひいおじいちゃん...」
* * *
深夜、真一は庭でレオンと話していた。
「不思議な街だな」
「ですね」
「でも、居心地がいい」
レオンは星空を見上げた。
「初めて、素の自分でいられる気がする」
「それが、この街の良さですから」
二人は静かに星を眺めた。
* * *
翌朝、レオンは普通の住人として生活を始めた。
温泉の掃除を手伝い、観光客の案内もする。
「元勇者が温泉掃除!?」
観光客は驚いたが、レオンは嬉しそうだった。
「普通の仕事って、いいですね」
やべー女たちの街に、元勇者という新たな住人が加わった。
理想郷は、少しずつ形になっていく。
【最終話予告】
ついに理想の街が完成!
でも最大の試練が...
「この街を認めません!」
国からの使者がやってくる!
最終話「やべー女たちの理想郷」感動のフィナーレへ!
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