第7話 実験住宅にようこそ

「じゃーん!これが私の最高傑作!『進化する家』!」


アルケミアが自慢げに、奇妙な建物を指差した。


一見すると普通の一軒家だが、よく見ると壁がうねうねと動いている。まるで生きているかのようだ。


「気持ち悪い...」


真一が正直な感想を漏らすと、アルケミアがむくれた。頬を膨らませる仕草が妙に可愛らしい。今日の白衣は丈が短く、ちょっとした動きでお腹がチラチラと見える。


「気持ち悪くない!革新的なの!」


アルケミアが抗議しながら飛び跳ねた。紫のツインテールが揺れ、ミニスカートから白い太ももがより多く露出する。ニーソックスとの境界線が眩しい。


「住人の生活パターンを学習して、最適な間取りに変化するんだから!」


「それは便利かもしれないけど...」


エリザベートが興味深そうに建物を観察した。今日は赤いスーツで、タイトスカートのスリットから黒いガーターベルトがチラリと見える。


「商品価値はありそうね。『あなただけの理想の家』って売り文句で」


「さすが社長!」


* * *


テスト入居者として、先日の冒険者パーティーが選ばれた。


「本当に大丈夫なんですか?」


剣士が不安そうに聞く。


「大丈夫!多分!」


アルケミアの「多分」が非常に不安だったが、セラフィーナの祝福(洗脳)のおかげで、冒険者たちは素直に入居した。


「では、1週間後に様子を見に来ますね」


リリスが妖艶に微笑みながら手を振った。黒いワンピースの裾がひらりと舞い、すらりとした脚が露わになる。


真一は嫌な予感を抱えながら、その場を後にした。


* * *


3日後。


「大変!様子がおかしいの!」


アルケミアが血相を変えて事務所に飛び込んできた。白衣のボタンが外れかけていて、紫のブラジャーが見え隠れしている。


「どうした?」


「家が...暴走してる!」


全員で現場に急行すると、そこには信じられない光景が広がっていた。


家が、巨大化していた。


いや、正確には冒険者たちを取り込んで成長していた。壁から剣士の腕が生え、屋根から魔法使いの顔が半分飛び出している。


「助けて...」


僧侶の声が床下から聞こえてきた。


「これは...」


さすがのエリザベートも青ざめた。ヒールで後ずさりした拍子に、タイトスカートが大きくめくれ上がったが、今はそれどころではない。


「あはは...ちょっと成長速度が速すぎたかな?」


アルケミアが冷や汗を流しながら笑った。


「ちょっとじゃないでしょう!」


真一が叫ぶ。


* * *


「私に任せて」


セラフィーナが前に出た。純白のローブを翻し、聖なる力を解放する。風でローブがめくれ、白い太ももと清楚な白の下着が一瞬見えたが、彼女は意に介さない。


「浄化します」


光が家を包み込む。しかし...


「効かない!?」


家は聖女の力すら吸収して、さらに成長した。今度は壁から光の触手が伸びてきた。


「きゃっ!」


触手がセラフィーナの足首を掴む。逆さ吊りにされ、ローブが完全にめくれ上がった。


「見ないで!」


顔を真っ赤にしながら、セラフィーナが叫ぶ。


「今はそれどころじゃない!」


真一は必死に触手を引き剥がそうとした。


* * *


「私の出番ね♪」


リリスが色っぽく微笑みながら前に出た。


「家さん、私と愛し合いましょう?」


淫魔の魅力を全開にして、家を誘惑し始めた。胸を強調するポーズを取り、スカートの裾を少し持ち上げて太ももを見せつける。


すると、家の動きが一瞬止まった。


「効いてる?」


しかし次の瞬間、家から大量の触手が伸びてきた。


「きゃあ!多すぎ!」


リリスも捕まってしまった。触手が体に巻き付き、ワンピースの布地を引っ張る。


「ちょっと!破れちゃう!」


「リリスまで!」


エリザベートが慌てて助けに入ろうとしたが、床から生えた触手に足を取られた。


「きゃっ!」


転んだ拍子にスカートが完全にめくれ上がり、黒いガーターベルトと下着が丸見えになった。


「もう!なんなのこの家は!」


* * *


「みんな!」


真一は必死に女性陣を助けようとしたが、一人では限界があった。


「アルケミア!なんとかしろ!」


「えーっと、えーっと...」


アルケミアが白衣のポケットを探る。その間にも触手が彼女に近づいてきた。


「あった!これ!」


小さな薬瓶を取り出した。


「成長抑制剤!これを撒けば...」


しかし、投げようとした瞬間、触手がアルケミアの手首を掴んだ。


「あっ!」


薬瓶が宙を舞う。


真一は咄嗟に飛びついて、薬瓶をキャッチした。


「ナイスキャッチ!それを家の中心部に!」


「中心部ってどこ!?」


「多分、玄関の奥!」


真一は意を決して、家の中に飛び込んだ。


* * *


家の内部は、もはや普通の家ではなかった。


壁が脈動し、床が呼吸している。そして、取り込まれた冒険者たちが壁と一体化していた。


「助け...て...」


剣士が苦しそうに呟いた。


「今助ける!」


真一は薬瓶の中身を、家の中心と思われる場所にぶちまけた。


すると、家が激しく震え始めた。


「効いた!」


徐々に家が縮小していく。取り込まれていた冒険者たちも、ゆっくりと分離し始めた。


同時に、外で捕まっていた女性陣も解放された。


「はぁ...はぁ...」


全員、服が乱れ、髪もぼさぼさの状態だった。


セラフィーナはローブが半分はだけ、リリスのワンピースは所々破れ、エリザベートのストッキングは伝線し、アルケミアの白衣はボタンが全部取れていた。


「最悪...」


エリザベートが髪を整えながら呟いた。


* * *


結局、冒険者たちは無事に救出されたが、当然ながら契約は解除された。


「返金しなきゃ...」


エリザベートが落ち込んでいる。


「ごめんなさい...」


アルケミアもしょんぼりしていた。


「でも、いいデータは取れたわ」


セラフィーナが慰めるように言った。


「そうそう!失敗は成功の母よ♪」


リリスも明るく励ます。


真一は溜息をついた。


懲りない人たちだ。


でも、落ち込んでいる彼女たちを見ていると、なんだか憎めない。


「次はもっと安全な物件を作りましょう」


真一が提案すると、4人の顔が明るくなった。


「さすが真一君!」

「次は絶対成功させる!」

「世界平和のために!」

「愛のために♪」


真一は、また大変なことになりそうだと思いながらも、少し笑った。


この調子だと、まともな不動産業なんて夢のまた夢だろう。


でも、それでもいいかもしれない。


退屈しない毎日が、ここにはあるのだから。


【次回予告】

セラフィーナが作る「完全平和都市」とは!?

住人全員が笑顔...でもなんかおかしい?

「みんな、目が死んでる...」

第8話「聖女の理想郷」へ続く!

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