第32話 亜人の後輩
季節は再び春、コタローは高校三年生になった。
この時期から新人冒険者がだんだん増え始めるので、各地のダンジョンは賑やかになっていた。
この周辺で盛り上がっているのはアンデットダンジョン。
目的は当然メスのモンスターのテイムだ。
昨年のコタローの件とは関係なくこの時期はいつも新人冒険者で賑わっているのが風物詩だ。
当然このゴブリンダンジョンにもそういった新人冒険者が来てもおかしくない。
既にコタローという実例がいるからだ。
しかし現在ゴブリンダンジョンは身内しか入れないよう規制されていた。
今回はボタンのいつもの入ダンではなく別の理由からだった。
「自分はマロンであります。ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します」
挨拶したのは犬の獣人の女の子マロン。
栗毛の頭からは犬耳、お尻の辺りにはピンと伸びた尻尾が生えていた。
「マロンのことをよろしくお願いします」
マロンを連れてきた冒険者の名は狛村ハナコ。
最近マロンが亜人に進化しルナに教育を依頼しに来た。
ハナコは以前コタローたちが訪れた女子校の生徒で、楽しそうにしているリンたちを見てマロンを預けるなら同じ所にしようとここに決めたのだという。
クランメンバー外ではないマロンがここを利用するにあたり、使用できる施設に制限があり他にも注意することがある。
そのため勉強に集中できる環境を整えるために一時的にダンジョンを封鎖することとなった。
といっても普段から大して人の来ないダンジョンの上、定期的に閉鎖をしているので封鎖自体は大した問題ではなかった。
リンとメイにとってマロンは亜人の後輩ということになる。
「マロンちゃん、わからないことがあったらリンに聞いてね」
「マロンさん、リンが変なことしてきたらすぐに相談してください」
「もう、リンはそんなことしないよ」
浮かれているリンがやらかないだけが心配であった。
「コタロー、メイ行ってくるね」
「迷惑かけないようにするのよ、リン」
「ボタンさん、リンをお願いします」
「ああ、任せな」
リンとボタンを見送るコタローとメイ。
今日はボタンの知人のコスプレ撮影会にリンが参加するのだ。
リンが以前からコスプレに興味があったのも理由の一つだが、一番の目的はマロンから遠ざけるためだ。
マロンが来て以降のリンは先輩風を吹かせようと事あるごとにマロンに絡むのだ。
今まで周りから妹扱いされることが多かったリンは初めてできた後輩のマロンが嬉しくてつい構ってしまうのだ。
それが余りにも度を越していてマロンの勉強に支障が出ると判断したルナは、リンの注意を他に向けさせようとボタンたちに協力を仰いだ。
その一つがコスプレ撮影会だった。
今回は日帰りではなく数日外泊する予定だ。
コタローやメイのいない初めてのお泊りに普段以上にテンションの高いリン。
コタローは学校へメイはハクアのところへと向かう。
メイは最近ハクアから薬学を教わっていた。
エルフであるメイは薬を作ることが可能で錬金術師のハクアから基礎を学んでいた。
数日後、リンとボタンが帰ってくる。
リンの不在の間は平和でマロンの勉強も捗った。
リンの方もトラブルなく過ごせたそうで、また行きたいと楽しそうに話していた。
その後はフータの所属するプロレス団体に遊びに行ったり、スイーツ店のヘルプに出るなどしてマロンとの接触の機会を減らしたことにより、マロンとは普通に接することができるようになったのだった。
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