第3話 地縛霊
1年前の6月21日に何が起こったというのか?
あの夜両親と高校3年の悠馬そして妹美咲は、乗用車で祖父母の家に帰省したのだが、疲れたので早々に深い眠りについた。
その時暑かったので父が窓を全開まで開け、網戸にしたままで眠ってしまった。まさか2階の窓から侵入しようなど思いもつかなかった。
そうなのだ。祖父母の民家一帯は優良都市に指定されている犯罪とは大よそ縁のない、開発の進んだベッドタウンだった。
その時だ。こんな環境の良い優良都市に指定されている場所にも拘わらず、真夜中にガッチリした大柄な男が窓から侵入して、次から次へと家族に手をかけ殺害して行った。
「クックック!人の血を見ると興奮してゾクゾクする。ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する。もっともっと……わっはっはっは」
2階の窓が開けっぱなしで、そこから侵入した犯人は、8畳の部屋に眠っていた4人を次から次へとメッタ刺しにして行った。何と言う事だ。辺りは血の海と化した。更には1階の祖父母の部屋に降りて行き、祖父母にも容赦なく刃物を振り下ろした。こうして惨憺たる状況となった。
その後恨めしそうに火の玉が、無念そうにゆらゆら揺れながら夜空に揺れていたそうな。
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それにしても岡崎市に帰省してからと言うもの、怒涛の如く不吉な事件が繰り返されている。悠馬と祖父母が「鳥川ホタルの里 」に偶然にも居合わせた場所で殺害事件が起こった事といい、小5男児の生首が東京都渋谷区内の空民家の庭で発見された事といい偶然が重なり過ぎだ。
更には不思議な現象が起こっていた。一家惨殺事件以来悠馬は祖父母にかねがね疑念を感じていることがある。それはどういうことかと言うと、考えすぎかもしれないが、それこそ……透明人間のように時々姿がスーッと消えることがあるのだ。それと……以前は大らかでにこやかな七福人のような祖父母だったのに、顔つきが怒りに燃える到底同じ人間には思えないのだ。
だから…両親と妹美咲は残念ながら亡くなってしまったのだが、祖父母にも何かが起こっていることは確かだ。
それが……何なのか???
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それにしても悠馬の近辺で起こる不可解な猟奇的殺人事件は、サイコパスの仕業なのだろうか?
悠馬一家惨殺事件といい、例の2つの事件といい、同時期に発生していて距離もさほど遠くないので、何か関連性があるという事なのだろうか?
サイコパスとは本当に恐ろしい血も涙もない人間の皮を被った悪魔だ。
サイコパスの最大の特徴は、やはり「良心の欠如」。 サイコパスには他人の痛みに対する共感が全く無く、自己中心的な行動をして相手を苦しめても快楽こそ感じさえすれ、罪悪感など微塵も感じないのがサイコパスの特徴だ。
その事件とはどのようなものなのか、改めて見て行こう。
「昨日の午後9時過ぎに岡崎市の「鳥川ホタルの里 」付近の橋の上から田村陽子さん75歳が、何者かによって降下に突き落とされました。今現在も懸命な治療が行われていますが、予断を許さない状況だと言われています。全く酷い話です。あんな丁度『鳥川ホタルの里 』から帰路につく車でごった返している状況下、よくそんな大胆な行動がとれたものです。更には満点の星と、月明かりと、蛍の灯りに照らし出され、ハッキリと突き落とされる場面をこの目で見たという住民の訴えも判明しました」
小5男児が祖父の家に行くと言って昼過ぎに家を出た後、ある男と偶然出会った。男は男児に対し「青色に黒と黄色に赤の超綺麗な蝶々あげるからついておいでよ」といって近所の高台に誘い出し、その場で絞殺して側にあった廃墟に遺体を隠した。そして…次の日、その男は前日の殺害現場の廃墟を訪れ、男児の遺体の首を金のこぎりで切断、頭部のみ家に持ち帰った。翌朝、被害男児の頭部が愛知県岡崎市✕✕町の空民家の庭で発見された。目は見開かれていた状態だった。
「ふっふっふっ!はっはっはっは!ああああああああ!興奮する」
それでは……山々コンビにその後の進展はあったのだろうか?
「鳥川ホタルの里 」付近の橋の上から田村陽子さん75歳が、何者かによって橋の上から落下したが、今現在も懸命な治療が行われているが、予断を許さない状況だと言われている。
こうして…山々コンビは、予断を許さない状況化の高齢女性田村陽子の息子を当たった。すると田村陽子経営のタムラハイツの住民の1人柳田辰夫が、家賃滞納が原因でキツイ取り立てに合い姿を消し消息不明となっていた。
一体柳田辰夫はどこに姿をくらましたのか?
そして…誠に残念なことに結局田村陽子さんは亡くなっていた。
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「日本古来の宗教である神道(日本の宗教)は、死んだあとも魂が永遠に残ると教えられている。神道には幽冥界( あの世)という領域があるが、そこからこの世に未練のある幽霊が戻ってきて、生きている間に自分を苦しめた人間に取り憑き、復讐するという。
へえー本当にそのような事が起こるのだろうか?
そのため、神道(日本の宗教)ではたくさんの儀式が行われるようになった。
例えば、日本の年末年始は、さまざまな宗教行事が重なり合う特別な時期。多くの日本人は、大晦日にお寺の除夜の鐘を聴き、新年を迎えると神社に初詣に行く。
西洋人の宗教儀式は、先祖を崇拝するためのものと考えることが多いようだが、実は死者の魂がこの世をさまよい続けないよう、なだめ、鎮めるためのものであると考えられている。
神道(日本の宗教)には、亡霊の持つ悪意と人に対する凶暴さである。仏教(インド発祥の普遍宗教)が日本に伝わってから、神道も少しずつ変化し、亡霊は幽霊界からではなく地獄からやってくるものと考えられるようになったことで、亡霊はすさまじい悪意を持つものというイメージが定着したのかもしれない。
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実は…悠馬は、地縛霊となってこの世に現れる両親と妹美咲に、夜な夜な会っていた。
「お父さん、お母さん、美咲、会えてうれしいよ」
「本当にやっと会えたわね」
「だけど……犯人が許せない。よくも俺たちを殺害してくれたなあ!💢💢💢」
「あの時は寝込みを襲われ気がついたらあの世に来ていたわ。それも……どういう訳か地獄に落とされてしまった。あんな恐ろしい場所に1分1秒たりとも居たくないわ。どうして私たちが地獄に落とされなければいけなかったの?」
「私はまだ高校2年生だったのに殺され夢も希望も無いわ。あんな地獄に落ちるなんて考えられない。でも3人一緒の衆合地獄(しゅごうじごく)に落ちれたのでまだ良かったけど……この地獄は、子どもをいじめた者や、浮気をした者が落ちるらしい。確かに私はよく弱い者いじめをしていたわ」
「お父さんは弁護士秘書に手を出して、その女と結婚をエサに関係を持ったので仕方ないわ」
「そんなもう終わったことを蒸し返すなよ。新しい彼氏が出来たらあっさりこんな中年のおじさんなんか捨てられたよ。それでもお前は何で衆合地獄に落ちたんだ?」
「実は…私も子どもの頃気に入らない子を虐めていたのよ」
この衆合地獄は恐ろしい地獄だった。例えば、ある場所では、鬼に山の間に追い込まれ、両方の山が近づいてきて押しつぶされてしまい。またある場所では、鉄の臼と杵で突き砕かれ、鬼やそこに集まってきた熱鉄のライオンや狼に食べられてしまう。そして、また別の林では木の上で誘惑する美女をめがけて木を登ってしまうと葉っぱが刃物に変わり、体を引き裂かれてしまうのだ。
「ギャッギャ――――――――――――――――ッ!」
「両方の山が近づいてきて押しつぶされてしまい、ペッチャンコになり血が噴き出して死んでしまう。くくく苦しい!!!」
「鬼や熱鉄のライオンや狼に食べられてしまい跡形もなくなってしまいそう」
こうして…いったん地獄に落ちたが、地獄の余りの恐ろしさに、この世に地縛霊となって戻って来て悠馬と祖父母の住む家に憑依してしまった。
「あんな地獄になんていられるものか、地縛霊とは土地や建物などに憑依するので、特定の場所この家に憑りついたのよ。死の瞬間の衝撃や強い未練から、特定の場所を離れることができずにるのよ」
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