第2話 神、バイトを始める

◆1◆ バイト戦線、異常あり


 


「猫さん……わたし、社会貢献したいの」


朝、目玉焼きを食べながら、神が真顔で言った。


 


「昨日ATM呼び出したやつが?」


「もうしないってば〜(#^ω^)」 


 


猫さんはうんざり顔でスマホを渡す。

画面にはバイトアプリ「ジンルイワークス」。


 


「じゃあ、これで探して。

条件は“時空歪めない職場”。」


「人類、要求細かっっ(#^ω^)」 


 


こうして、ベスのバイト探しが始まった。


だが、彼女の履歴書はこうだ。


> 【学歴】

138億年前:宇宙誕生(自力)


【職歴】

創造神(前職)

人類創造

禁断の実配布ミスにより退職


【資格】

言霊操作/重力再編/次元転送(全部使用不可)




 


当然、受かるわけがない。


 


◆ ◆ ◆


 


◆2◆ ベス、神様の器を試される


 


三社落ちたあと、奇跡的に採用されたのは――


なんと近所のパン屋『BAKERY地母神』。

(たまたま店主が神話オタク)


 


「パン焼いたことある?」


「世界なら焼いたことあるけど?」


 


→なぜか気に入られて採用決定。


初日はトングとエプロン装備で、

焼き立てメロンパンを並べるベス。


 


──が、問題発生。


 


「ベスさん……そのメロンパン、

魂込めてるってお客様から苦情が……」


 


「えっ!? わたし癖で命吹き込んでた!?(#^ω^)」 


 


→メロンパンが喋り出す。

→「俺はまだ焼き足りねぇ……!」とか言い始める。

→子ども泣く。


→クビ。二日目で終了。


 


「この星のパン、気合足りない……可愛くない孫だね〜(#^ω^)」


 


◆ ◆ ◆


 


◆3◆ 地球に染まりすぎる神


 


落ち込むベス、ソファでうなだれ中。


猫さんが言う。


 


「次、スーパーのレジは?」


「うーん……ピッってするたびに、“この者、赦されよ……”って言いそう」


 


「やめとけ」


 


だがその時――

ベスがハッと顔を上げる。


 


「……あれ? わたし、なんでバイトしてんの……?」


「お前がやるって言ったんだよ」 


 


「いや、創造神が最低賃金で働くって……

この星、やっぱおかしくない?(#^ω^)」 


 


→現実逃避してベランダから空を見上げる。

→でも隣の家の洗濯物見て「あ、今日風強いな」って地味に地球に馴染んでる。


 


◆ ◆ ◆


 


◆4◆ その日、神はカレーを作った


 


ベスが「もう働くのやめる〜!」と泣いたその夜。


猫さんは、冷蔵庫の材料でカレーを作る。


無言で差し出されたカレーをひとくち。


 


ベス「……っ、なにこれ……酸素濃度……ちょうどいい……!」


猫さん「それ、玉ねぎ炒めただけだけどな」


 


ベス、泣きながら食べる。


「地球……ちょっとだけ、いいかもしんない……」 

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