MoA:Rank11「vsイエロー」
ごきげんよう、マイグラント。
これで中位帯最後の戦闘となります。
次の相手は識別名“イエロー”
またの名を竜化体“レギーナ・レギーナ”
彼女はかつてアッシュの伴侶として、彼とともに冒険者としてギルドの依頼に参加する少女でした。
しかし、過去の遺物に触れたことで発狂し、ある意味では我々に近い、三千世界の残滓のような存在へと昇華しました。
極めて高い魔法力と、竜化体の壮絶極まる電撃、そして体内の生命エネルギーが淵源の蒼光に置き換えられ、外部からの補給無しで生存・戦闘を継続する、もはや生物の域を越えた存在となっています。
以上となります。
シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
エンドレスロール 政府首都アルマ 中央残骸
嵐に覆われた巨大な塔の残骸、その中央にて。闇が立ち込める大穴から、人影がどこからともなく現れる。それは魔女帽を被った金髪の少女で、一本の帯を全身に交わして局部を隠すようにしているようだ。
「誰かと思えばホワイトちゃん」
イエローは魔女帽の向こうから気だるげな、けれど鋭い眼光を向け、わざとらしく首を伸ばしながら空を見上げる。
「アッシュは、君が殺したんだね?」
淵源の蒼光で大鎌を象り、右手に握って静かに構える。
「エンドレスロール、かぁ。生きてる君と違って、私たちはただの情報に格下げされちゃったんだ」
正面を向き、歯を見せる邪悪な笑みを浮かべて言葉を続ける。
「
イエローは左腕を振るい、蒼光粒子を前方へ飛ばす。こちらが飛び上がりながら右手の三連装ショットガンで圧力をかけていくと、眼下で粒子が爆発する。イエローは大鎌を眼前で高速回転させて銃弾を弾き、そのまま体勢を変えながら投げ飛ばす。更にこちらの右側への瞬間的ブーストに合わせて蒼炎で象った長剣を五本飛ばし、右肩のガトリングで炎剣を撃ち落としながらコース取りで避け、イエローは大鎌を手元に戻してから着地を狩るように踏み込んで縦振りを放ち、こちらは左へ切り返して避け、後隙を狙って前進しつつノンチャージで左腕の強化パイルバンカーを叩きつける。だがあちらは無数の蝶になって避け、後方で身体を再構成してから思い切り大鎌を回転をかけて投げ飛ばし、こちらが素早く前進しながら反転してショットガンで散弾を撒いて距離を詰めていくが、あちらは不敵な笑みを浮かべてながら勿体ぶって左手に炎剣を生み出し、ゆっくりと掲げる。すると中空に大量の炎剣が生み出され、イエローが地面に突き立てると同時に雨のように降り注ぐ。
「ホワイトちゃんも同じ景色を見てるんでしょお!?捻れ狂った、歴史の残骸をさあ!イヒ!イヒヒ!イヒャヒャヒャヒャッハハッハハ!!!」
イエローが大鎌を構えて左半身を引くと、刃が三重に増え、そのまま力任せに振り上げる。届いている距離感ではないが、抉った地面の軌道に合わせて縦向きの巨大な衝撃波が突っ込んでくる。右に避けながらガトリングで弾丸を注ぎ込んでいくが、イエローの身体は被弾に合わせて蝶に代わり、その大半を無効化しているようだ。
「ホワイトちゃぁあん!そんなの届かないって知ってるよねぇえ!!」
イエローは蝶に代わり、こちらの至近で実体化してから槍状に変形した大鎌で刺突を狙う。だがこちらも胴体部の連結から生命エネルギーと赫々たる炎を混ぜ合わせた衝撃波の予兆を見せ、穂先でこちらの腹を削るようにしながらショットガンをあちらの腹に押し当てて撃ち、イエローが当然のように蝶になって躱そうとした瞬間に衝撃波を解放して、彼女の分解を強引に押し留めてフルチャージした強化パイルバンカーで撃ち抜き、撃針で貫いて叩き落とす。イエローは両足で堪えるが、間髪入れずに全速力で接近しきって蹴りつけ、押し込む。彼女の腹には大穴が空いており、連鎖爆発の影響を受けた全身も酷く損傷しているが、出血の一つも無い。むしろ、露出した体内は蒼い結晶のようで、異常な輝きを放っていた。
「ホワイトちゃんも……大好きな人のために戦ってるんだねぇ〜」
魔女帽が突風に巻かれて飛んでいき、イエローは歪みきった笑顔を見せる。
「実は私もなんだぁ〜……私も、大好きなアッシュのために戦ってるんだよ……」
一条の雷霆が彼女を撃ち抜き、凄まじい衝撃と煙が起こる。
「
煙の向こうから現れたのは、黄金の輝きを放つ飛竜だった。
「だから大好きな人のことは、たぁぁぁぁくさん苦しめてあげると良いよぉ!」
両翼で地面を捉え、側頭部に添えられた直線状の牙による電界を通して、口から超高速の電撃弾を射出する。一瞬反応が遅れ、回避しつつもガトリングを破壊される。イエローは飛び上がりながら右翼を振り抜き、大量の鋭利な鱗を飛ばし、こちらが瞬間的ブーストによる回避からの上昇で詰めようとすると、地面に突き刺さった鱗が避雷針となって雷霆が次々と落ち、超高威力のプラズマがもたらす破壊力で姿勢の制御をやや乱される。空中でイエローは再び姿勢を整え、喉奥から淵源の蒼光を迸らせながら牙で加速させた電撃弾を射出する。今度こそ左へのブーストで躱し、ショットガンで撃ち返すが、帯電して強化されている甲殻にはまるで歯が立たず、反撃に右翼を振り抜き、前方に大量の落雷を発生させる。こちらは敢えて正面に全速力で突っ込みながら左右へのそれぞれのブーストで落雷を躱し、フルチャージした強化パイルバンカーを構えながら連続した瞬間的ブーストで突っ込み続けると、イエローは翼を畳んで砲弾のようになりながら強引に空中を突っ切って逃げて着地し、三度口から電撃弾を射出する。こちらも急降下して躱しながらショットガンを投げ捨て、左肩の装置を起動して強化パイルバンカーに装着し、それによって増設されたブースター六基を使って加速する。イエローは姿勢を戻しながら、右翼に強烈な電力を注ぎ込み、振り抜いて巨大な電撃刃を形成して飛ばす。推力と炎の勢いのまま電撃刃を破砕し、右翼ごと甲殻を貫いて押し込む。
「グヘッ……フヒャヒャアアアア!」
イエローは両足に渾身の力を込めて拮抗し、こちらは左肩の追加パーツをパージすることで撃針の残弾全てを射出して捩じ込み、大量の連鎖爆発で表皮を剥ぎ取りつつ、フルチャージした強化パイルバンカーから最後の撃針を叩き込み、彼女の胴体を貫徹して爆砕して吹き飛ばす。もんどりうってイエローは後方に転がり、間もなく竜化が解ける。
「ふへ……ホワイトちゃん……アッシュのところに……私を……
瑞々しかった彼女の身体は乾いて崩壊し、灰の山となって積もる。
「好きな人に……また会えるといいねぇ……」
彼女の言葉が虚空へ溶け、嵐が消える。
『“イエロー”の撃破を確認。
お疲れ様でした』
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