MoA:Rank15「vsグリーン」

ごきげんよう、マイグラント。


次の相手は……

“MoA”も、ちょうど半分まで到達しました。

そこで、あなたの限界をより引き出すために面白いことをしようと考えました。


改めまして、次の相手は識別名“グリーン”

TA“アイン” “ツヴァイ” “ドライ” “フィア”


彼らはギルドランキング二位、レッドの下につき、そして実質的にギルド勢力全体の指導者に相当する人物たちです。

あの世界の一般的な冒険者パーティーに倣い、万能型の勇者“アイン”、重装型の前衛“ツヴァイ”、中遠距離の火力特化型“ドライ”、遠距離魔法支援特化の後衛“フィア”の四機のTAからなる部隊です。

厳しい戦いになるとは思いますが、あなたが例外イレギュラーであるのなら……決して勝てぬ相手ではないでしょう。


以上となります。

シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
























 エンドレスロール 政府首都アルマ・外縁

「悪いがお前にはここで死んでもらう、ホワイト」

 巨大な切創が刻まれた都市の残骸で目覚めると、海の向こうから四機のTAが飛翔しているのが見える。

「理由はわかっているはずだな?

 やりすぎたんだ。例外イレギュラーなんだよ、お前はな」

 間もなく着地し、中装二脚、重装タンク、中装四脚、重装逆関節の詳細を現す。最前列に立つ中装二脚……グリーン・アインが言葉を続ける。

「まあ、所詮はお前も獣か。

 言葉など一つも通じはしないだろう。

 ギルドの統治する正しい未来のため……

 死ね、例外!」

 四機が動き始めたと同時にこちらは左肩の大型キャノンを展開し、生命エネルギー衝撃波を発射する。

「最初から派手な挨拶だな」

 アインが重装逆関節……フィアの援護を受けて左腕の大型刺突盾で衝撃波を受け、盾の耐久をさほど削らずに受け切る。即座に重装タンク……ツヴァイが飛び出して両腕のガトリングを乱射しながら真っ直ぐこちらへ突っ込んでくる。どうやらサイズ差を使って轢き潰す魂胆のようだ。右方向へ瞬間的ブーストを行いながら右腕の発振器を起動させる素振りを見せると、フィアが左腕に持った小型グレネードランチャーを放ち、砲弾が弾けて内包されていた魔法が弾けてフィールドを作り出す。おそらくは制御系統に影響するものなのだろうが、こちらはお構い無しに発振器を起動し、噴出する赫々たる炎の激流をブレードのように薙ぎ払い、強烈な衝撃でツヴァイが硬直し、そこへ中装四脚……ドライが脚を地面に固定してから両腕と両肩の武装全てをこちらへ向けて解き放つ。右腕のレーザーキャノンを躱し、左肩の三連装ビームキャノンを低く飛ぶことで避け、続く右肩の十八連装ミサイルの斉射を余剰部分に積んでいたフレアを撒いて無力化し、左腕の強化パイルバンカーをチャージしながら距離を詰めていく。

「させるか……フィア!」

 アインが盾を構えながらこちらに突進し、相打ち前提で飛び上がったフィアが右腕の中型レールガンでこちらを射抜こうと構える。ドライの左腕に残っていたグレネードライフルの砲弾が飛んでくるが、フィアへ方向転換して鼻先を通して躱しながら強化パイルバンカーの撃針を射出し、フィアの右肩口に突き刺して連鎖爆発を起こし、左斜め下方に押し退けながら右腕を機能不全にさせる。アインに盾で突き飛ばされるのを甘んじて受け入れながら、味方が射線から消えたことで戻ってきたツヴァイが変わらずの猪突猛進で、凄まじい弾幕を形成しながら突っ込んでくる。こちらは素早く二回ブーストしてドライを盾にするような形で回り込むと、ツヴァイは両肩に装備した大型グレネードキャノンを山なりに構えて発射し、ドライを跨いでこちらを撃ち抜こうとしてくる。だが敢えて動かず、アインが防御に回ってくるより前に再装填の終わった左肩の大型キャノンを放ち、固定を解除して離脱しようとしていたドライに直撃させる。弾け飛ぶ威力に任せてドライの機体が爆散し、慣性がついていたツヴァイが巻き込まれて押し退けられ、アインは咄嗟に回避して事なきを得る。間髪入れずに発振器で炎刃を形成してツヴァイへ一撃加えてタンク脚部との接続部を切断して破壊し、その隙にフィアがアインの傍に戻る。

「ツヴァイとドライを片手間に始末するとはな。

 流石、強さだけでランカーとなっただけはある」

 フィアが残った左肩の装置を展開し、遠隔でアインの盾を修復して強化する。アインは盾を構え、右腕に持ったビームライフルをこちらの動きに合わせて最小限の弾数で撃ち込んでくる。想像以上に射撃は正確で、こちらが瞬間的ブーストを複数回挟んでも掠め、削る。ならばとこちらは右肩の単発式グレネードキャノンを発射し、アインが盾で防ぐ。だが盾に突き刺さった砲弾がフィールドを展開し、魔力の流れを堰き止める。

「ッ……!?」

 アインが驚いた瞬間に一気に距離を詰めて発振器を起動して振り下ろし、だがフィアが身代わりとなってそれを受け、アインは盾を投げ捨てながら右へ動き、左肩のミサイルを発射する。大きな一発のそれはある程度進んでから弾け、無数の子弾がこちらを追尾する。前に出ることで追尾を切り、ライフルからのビームを発振器を犠牲にして軽減しながら突っ込み、フルチャージした強化パイルバンカーを振り被る。アインは咄嗟に装甲を展開してジェネレーターに胴体部を直結し、そこから直に衝撃波を解放しようとする。それに合わせ、こちらは大型キャノンから三発目の衝撃波を撃ち出し、相殺し、開かれた装甲に撃針を撃ち込み、連鎖爆発で決着をつける。

「イレ……ギュラー……」

 アインは呪いのように呟いて爆散する。

『TA部隊“グリーン”の撃破を確認。

 お疲れ様でした』

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