MoA:Rank21「vsロッテン・コーカソイド」
ごきげんよう、マイグラント。
次の相手は……
……
…………
………………
すみません、通信に障害が。
次の相手は、識別名“ロッテン・コーカソイド”。
彼は……
ふむ……
申し訳ありません、彼についての情報が殆ど無く……
どうやら、プログラム構築時に紛れ込んだバグのようです。
こちらで確認する限り、あなたと同じパワードスーツに身を包んだ兵士のようですが……
ともかく、勝利してデータを持ち帰っていただけると幸いです。
シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
エンドレスロール 国境防壁残骸
長い国境防壁の残骸まで辿り着く。そこでは、時が止まったように瓦礫が空中に巻き上げられており、巨大な竜巻が地表から天空までを繋いで迸っていた。凄まじい突風が吹き荒れているが、瓦礫は空中で固定されて微動だにしない。
「……」
こちらの正面に立つのは、異様な黒い闘気を発する人型だった。右腕にデトネイトバズーカ、左腕にプラズママシンガンを装備している。
『聞こえますか、マイグラント。
彼が“ロッテン・コーカソイド”……
彼がどういった経緯でここに紛れ込んだのかは不明ですが、撃破をお願いします』
コーカソイドはバズーカを撃ち放ち、こちらが右に避けながらアサルトライフルを連射していく。あちらも同じように右に飛び出し、お互いに衛星のように回りながら、プラズママシンガンを撃ち返し、至近距離で爆散するプラズマがこちらを徐々に削っていく。更にあちらは四連装ミサイルを斉射しながら細かい前方ブーストで詰めてくる。右方向へ瞬間的ブーストを行いながら飛び上がり、こちらは右肩の二連グレネードキャノンを撃ち下ろし、コーカソイドは後方ブーストを行いながら左肩から中型オービットを展開し、それに実弾を連射させることで砲弾を撃ち抜いて爆発させ、爆風に紛れながらバズーカを撃ち返す。こちらも左肩の六段三連装ミサイルを撒きながらアサルトライフルを撃ちつつ、高度を下げて着地して回避しながら、連続でブーストして強化パイルバンカーをノンチャージで当てて押し飛ばす。
『いい調子ですね。
どうやら正体不明なバグと言うだけで、さほど強力な手合では――』
シルヴィアの言葉を遮り、コーカソイドから沸き立つ闘気が膨れ上がりつつ、彼は上昇していく。それに合わせずに二連グレネードキャノンを瓦礫へ発射して破壊する。意に介さずコーカソイドは闘気を圧縮し、巨大な衝撃波として解放してから勢いよく着地する。漲る闘気が遠方からのアサルトライフルの弾丸を弾き返し、あちらはブーストで浮遊しながらバズーカを放つ。
『ふむ……体表に流れる闘気によって、防御性能が格段に上昇しているようです。発射から時間が経ち、推進力の低下した実弾や光線では貫けないようですね』
シルヴィアの言葉を聞き流しながら、アサルトライフルの弾丸で砲弾を貫き、六段三連装ミサイルを斉射しながら距離を詰めていく。あちらも同じように四連装ミサイルを撃ちながら進み、近距離まで来てようやくアサルトライフルの弾丸が闘気を貫いて、酷く減衰しながらも威力を届かせる。距離感が縮んだことで回避の難度が上昇し、残弾数への不安など微塵もないプラズママシンガンの乱射に飲み込まれ、身体への負荷が急激に高まる。そこに構造上素早いリロードが可能となっている四連装ミサイルが当てられて姿勢を崩され、即座にブーストからの蹴りを叩き込まれて硬直を延長させられ、バズーカの直撃と連鎖爆発で強烈なダメージを受ける。咄嗟に胴体部を連結して生命エネルギーを解放し、赫々たる炎混じりの衝撃波を爆散させて至近距離にいたコーカソイドの姿勢を崩し、フルチャージした強化パイルバンカーを押し当てて撃針を射出し、胴体を貫通させながら連鎖爆発で追撃する。コーカソイドは吹き飛びつつも両足で堪え、胴体の中央に大穴が空いたにも関わらず構わず姿勢を正す。
『まだ動いて……!?』
コーカソイドから更に激しく闘気が迸り、制御系統に支障を来たしたのか両肩の武装が自爆する。そして間もなく、バズーカを向けてトリガーを引く。けれど砲弾は射出されず、代わりに行き場を失った闘気が怒涛のように吐き出される。あまりの反動に自身が押し流されそうになるのを強引に両足を踏ん張って堪え、こちらを狙って薙ぎ払ってくる。当然こちらは飛び上がって射角の調整を困難になさせながら、リロードの終わった瞬間からチャージを再開していた強化パイルバンカーを携えて急接近し、今度はフルチャージしたそれを脳天に密着させ、全身を貫くように撃針を突き刺し、連鎖爆発で全身を破壊しながら、爆風に巻き込まれてこちらも吹き飛ばされる。煙が晴れると、足だけになったコーカソイドが倒れ込む。
『“ロッテン・コーカソイド”の撃破を確認……
お疲れ様でした、マイグラント。
それにしても……』
残骸からはなおも黒い闘気が漏れ出している。
『新規範の存在では、ない……』
シルヴィアの声とともに、視界が白けていく。
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