MoA:Rank24「vsフレス・ベルグ」
ごきげんよう、マイグラント。
次の相手は識別名“フレス・ベルグ”。
彼女は複数の世界に同時に存在する、完全同位体の一人です。今回あなたと戦ってもらうのは、世界樹海でのフレス・ベルグ……即ち、アースガルズの幹部として、大氷壁の形成に貢献した個体です。
知っての通り、彼女は強大な魔力と、高い身体能力を併せ持つ人物であり、秘めるポテンシャルの限界値は極めて高いと考えられます。
以上となります。
シルヴィアは、あなたの働きに期待しています。
エンドレスロール 大氷壁
「悪趣味なことしてるわよね、こいつら」
樹海の狭間に残された、大氷壁の残骸にて、金髪の少女と相対する。
「久しぶりね、
挑発するような物言いに何も返さず、左腕の強化パイルバンカーを臨戦態勢にして構える。
「面倒だからさっさと終わらせましょ」
フレスは軽く跳ねたあと、拳を構える。
「ま、戦う以上は勝ちを狙うんだけどさ!」
右半身を引いて幻影剣を三つ生み出し、右拳を突き出すと同時に射出する。こちらは左肩のレドームからレーザービットを展開してそれらの迎撃に当てながら後退し、右手のアサルトライフルをリードブローのように連射していく。フレスは空中に投げ出した幻影剣へ手から魔力糸を伸ばして括り付け、引き寄せて強引に高速移動してみせる。移動の軌跡に幻影武器をいくつも配置し、幻影剣を乗り継ぐ度に発射する。レーザービットを回収してエネルギーを供給しつつ、右肩の大型コンテナを展開して、大量の小型ミサイルを撒き散らす。総数は三十六発にも及び、猛烈な爆発の嵐で幻影武器を破壊してなお視界を煙らせ、再びレーザービットを展開しながら爆煙の中からアサルトライフルをバースト射撃し、フレスが乗り継ごうとしていた幻影剣を破壊する。
「ッ……!」
移動先を潰されて空中で無防備になったフレスへ全速力で急接近しながら強化パイルバンカーをチャージし、煙を抜けて最接近する。だがフレスは冷気を放って崩れた姿勢を的確に戻しながら右半身を氷結させ、繰り出した強化パイルバンカーに合わせて右拳を当て、莫大な冷気を移すことで機構を凍らせ、強引に射出を止める。こちらが即座に右蹴りを繰り出すとあちらも瞬時に判断して右足で迎撃に上がり、蹴りが交差した上でこちらは更に胴体部を連結して生命エネルギーを衝撃波として解放し、フレスは咄嗟に全身を凍らせて氷塊になりながら吹き飛ばされる。ダメージを肩代わりした氷が砕け散りながらフレスは後退して着地し、右半身の氷結を解除する。こちらは間髪入れずに右肩のミサイルを再びばら撒きながら、レーザービットを重ね、左右から挟むようにビットを向かわせる。フレスは力んでから大量の氷柱を前方に撒き散らして頭上のミサイルを迎撃しながら、レーザーを数発受けつつもすぐに動き出し、器用に幻影剣を飛ばしてビットを破壊していく。氷結の解けた強化パイルバンカーから撃針を射出し、ビットから強引に注意を逸らして回避させ、左手でアサルトライフル用のマガジンを掴んで投げつけ、フレスの間近で撃ち抜いて暴発させる。彼女が不意に防御したところへアサルトライフルを直接投げつけて当て、音で威圧するように全身のブースターを吹かす。
「(来る……!)」
フレスが身体を氷結させて身構えるが、わざと時間をかけて強化パイルバンカーの再装填とチャージを行い、完全に硬直したところへ最接近して撃針を押し当て、氷の鎧ごと貫いて連鎖爆発で決着をつける。
「クソッ……ごめんセレス……」
衝撃で後退させられたフレスは片膝をついて消滅し、視界が白けていく。
『“フレス・ベルグ”の撃破を確認。
お疲れ様でした』
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