智也の40歳の誕生日を迎える旅は、大雪に見舞われ、飛行機は何とか目的地に着陸できたが、宿泊先に向かうバスは、雪のせいで到着が遅れると言う。雪の空港で缶詰めになってしまった。しかも、まるで智也をつけ回している様な男、比企野に捕まり、ずっと話を聞かされる羽目になった。智也は、母親の介護の息抜きに、時々旅をしては、旅のブログを慰みにやっていたのだが(毒にも薬にもならない、人畜無害な物だ。ちょっと話を盛ってみたところで、フォロワーが増えることもない。) 比企野は、そんなブログの大ファンだと言う。智也は、比企野を以前に2度、見た事があった。しかも言葉も交わしている。会う度に少し印象の違う比企野は、行方不明の弟を探していると言った。2人で協力して母親の介護をしていたのだと。親の介護をする者同士、親近感が湧かない訳ではないけれど、なぜか比企野とは関わってはいけないと感じてしまう。比企野の妄想を聞いていると、缶詰めになっているこの空港の人々が、皆んな怪しく見えて来る。比企野は本当に妄想を話しているのか?比企野の言う事こそが本当の事なのか?比企野の目的は?智也はどうなる?
仮想と現実が、紙一重に存在し、フッと入れ替わりそうな危うさに、ゾワっとする作品です。