風を読む者

第1話

 冷たい風が、岩山の隙間をすり抜けて吹き抜けていく。

その微かな風の流れを感じ、マイ=サツキは弓弦をゆっくり引き絞った。



風速、風向き、距離、標的の動き。

目に見えないすべてを読み取り,判断する。


 「……今」


ピン、と小さく音を立てて放たれた矢は、見事に飛び出した魔物の額を貫いた。

その場に崩れ落ちたボスゴブリンの死骸を見て、後衛にいた仲間が歓声を上げる。


 「相変わらずすげえ命中率だな、マイ!」


 「集中切らすと外れるよ。次、まだいる」


マイはすぐさま次の矢をつがえる。

目は鋭く、だが表情は冷静。まるで機械のような動きだった。


彼女は冒険者ギルド氷牙ひょうがに所属する中堅冒険者。

北の帝国の山岳地帯で起きている魔物異変の調査任務に参加していた。


だがその裏で、帝国の偵察部隊は密かに南を注視していた。


――エルザリア王国で、“竜”が目撃されたという未確認の報せ。


噂に過ぎないはずだった。けれど、マイだけは妙な胸騒ぎを感じていた。


 (竜……? いや、そんなはず……)


風がぴたりと止み、曇り空が広がる。冷たい予感が、背筋をひんやりと撫でていった。




------------------------------------------あとがき--------------------------------------------


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