第47話 ケティ妊娠


「ケティ、おめでとう! 妊娠しているわよ!」


「やった……やったわ」


わたし、ケティはLLS実習室に呼び出され、この話をセシリア先生に聞いて嬉しくてしょうがない。


昔はもっと高かったけど、今じゃ男性が不能が多く搾精による物を使っても10%以下……自然妊娠なんて殆ど無いって聞いていたから。


「そうね、羨ましいわね。 3千万ウェンの一時金に今回は実は特別な追加報奨金で7千万ウェン。 これから、中央の特別病院のVIPルームに移って子供が生まれるまで自由に生活もできるわ。それに今後の妊娠状態次第で優良母体と解かればさらに厚遇されるし、貴方が将来なりたかった中央図書館の司書にも成れるわ」


3千万ウェンは分かるけど追加の7千万ウェンが分からない。


どうしてなのかな?


「あの、今回の報酬はなんでそこ迄高いんですか?」


「それはね、セレスは貴方も薄々は感じているかも知れないけどAランクの中でも特殊なの。その為、中央がセレスの子を欲しがっているのよ。その記念すべき第一号がその子なのよ」


「まさか、実験とかとは違いますよね」


「貴重な子供をそんな事に使わないわ。寧ろ逆よ! 色々と検査はあるけど親子ともある程度の厚遇は約束されると思うわ」


「そうですか? 話を聞いてほっとしました」


「本当に羨ましいわ……それで、悪いんだけどすぐに中央に移って貰うわ」


「あの、セレスや皆にお別れをしたいんですが駄目ですか?」


「駄目よ! ケティ、ルールは知っているでしょう? それに自然妊娠したなんて事を他の子が知ったら嫉妬から何されるか分からないじゃない?」


男性には精神的なショックを与えない為、当人ではなく後日、教師や公務員が報告するんだっけ。


「いえ、妊娠の事は一切、セレスにも友達にも言いません。どうかお願い致します」


「そうね、それなら私が同伴すると言う事で許可するわ。周りには中央への留学という事でどうかしら?」


「ありがとうございます」


うふっ、まさかあの1回で妊娠できたなんて、凄くラッキー。


だけど『妊娠出来たし、莫大な一時金も貰える。 中央で良い仕事にも将来つけて最高!』の筈なんだけど……


もう、セレスに最低でも1年近く会えないなんてちょっと寂しいな。


ううん、こんな幸せ滅多に無いんだから、喜ばなきゃね。


◆◆◆


「マリアーヌ主任、ケティのお腹の中の子は女の子ですよね? それなのにどうしてあんなに待遇が良いのですか?」


「セシリア、それは当たり前ですよ! 数十年ぶりの自然妊娠、そして相手はセレスなんですから、女の子とはいえ普通の子と違います。中央は唯一まともな男性セレスとの間に自然妊娠で出来た子に興味津々で『中央に速やかに送って欲しい』と言ってきたのです。その為ですね」


「もし、これが男の子だったら……」


「恐らく追加褒賞は7千万ウェンなんて金額じゃなく10倍近くになったかも知れませんね。それでセシリア、貴方を含んで他の子達はどうなんですか?」


「今の所、妊娠したという報告は受け取っていません」


「そうですか……残念ですね。まぁ、毎日のようにセレスは頑張っていますから、次の妊娠もそう遠くは無いでしょう」


「そうですね」


追加報奨金7億ウェンなんて、そんなの手に入れたらもう一生遊んで暮らせるわ。







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