Day6 重ねる (中嶌、岡田、梶原)

「お邪魔しまーす」

「来たぜー」

「おー」

 スーパーで適当に飲み物とお菓子を買い込んだ二人が中嶌の部屋に着くと、家主は肉を手に、平らなタッパーを睨んでいた。

「え、何やってんの」

「肉の味噌漬け。肉と味噌を重ねてってる」

「え、何すかそれ絶対美味いやつじゃないすか」

「うん、たぶん美味い」

「てことは今日のメインはそれですか?」

「いや、これは俺の明日の夕飯」

「はあ~⁉ もう俺の腹は肉の味噌漬けになりましたよ⁉」

「まぁほら、夕飯これ」

 これ、と差し出された土鍋には、キャベツと豚肉がきれいに重ねられて収められていた。いつもの座卓にはIHの小さなコンロが既に置かれている。

「いや、この暑いのに鍋って」

「いいのか? 味変し放題だけど」

 ほれ、と差し出されたお盆には、各種調味料が所狭しと載っている。中嶌の部屋に二人がしょっちゅう寄り付くものだから、調味料ばかりが充実してきてしまったのだ。案の定、味噌だれを見つけた梶原の喉がゴクリ、と動く。

 にんまりと笑って、中嶌は鍋をコンロにセットした。

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