Day19 網戸 (梶原、岡田、中嶌)

 その夜は、随分と涼しかった。自転車で坂を下っていたら半袖のTシャツからのぞく腕にあたる夜風が冷たくて、上着を持ってくればよかったと思ったほどに。

 だから、窓を開けて、カーテンもいくらか開けて、網戸からの風を通して寝たのだった。

 扇風機も要らないほどの涼しさで、それはそれは快適だった。

 ……と、寝入るまでは思っていた。

 翌朝、いつもより広く開いたカーテンの間から差し込む朝陽で起きると、至るところが痒かった。


「――と、いうわけで、俺は寝るときこそ窓を閉め切ってクーラーを使うことにした」

「いや、蚊取り線香とか虫除けとか色々あるじゃないですか」

「クーラー。絶対クーラー」

家主の意思も訊いてくれよ……っくしゅん」

 家主はよそに、夜は更けてゆく。

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