第4話 揺れる証言

澪はユウマの挙動にますます疑念を抱きながらも、彼の知識に頼らざるを得なかった。

翌日、澪は管理会社の担当者と直接会うことにした。


「事故の当日、部屋のスマートロックはどうなっていたんですか?」

澪の問いに、担当者は一瞬だけ目を泳がせ、言葉を選ぶように答えた。


「システムには異常はありません。ただ、一部のログが何らかの原因で消えているようです。」

「ログが…消えた?」


「ええ、それが原因で正確な解析ができないんです。」

担当者は肩をすくめ、何も言えない様子だった。


その後、澪はマンションの他の住人に話を聞くことにした。

誰もが事件の話題を避け、口を閉ざしていたが、ある老婦人がこっそりと教えてくれた。


「水谷さん、何か大きな秘密を抱えていたのよ。だからあの子、いつも誰かに怯えていた。」


帰り道、澪はユウマにその話を伝えたが、彼は微笑みながら言った。


「秘密があるのは誰にでもあるさ。でも、それが殺人の理由になるかは別だろう。」


澪の胸は、次第に重く沈んでいった。


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