第3話 秘密の痕跡

澪は翌朝、梓の部屋を訪ねる決心をした。

管理会社は頑なに情報を出さず、もどかしい日々が続く中で、唯一の手掛かりは梓の私物だった。


部屋の前で深呼吸し、インターホンを押す。

しかし返事はなかった。

ドアはかすかに開いており、中に誰かがいる気配がした。


恐る恐る部屋に入ると、散らかったノートとスマホがテーブルの上に置かれている。

スマホはロックがかかっていたが、ノートには奇妙な数字の羅列やメモがあった。


澪はその中に、“アクセスログ”の記録らしきものを見つける。

そこには「未登録ID」と書かれた部分もあった。


その時、背後から声がした。

「何をしてるんだ?」

振り返ると、ユウマが立っていた。


「ここは俺の部屋だ」と言い放ち、スマホを取り上げると、何かを隠そうとするように画面を覆った。


澪はその動きを見逃さなかった。

ユウマの影が、ますます謎を深めていく――。


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