第8話 一応の解決


 「本当にピッチャーってこんな事が出来るのか?」


 「流石に毎回狙ったところに投げれる訳じゃないと思うよ。でも、兄貴にはステータスがあるでしょ?」


 「まあ、そうだけど…。道は長いなぁ」


 「二人のお小遣いを使って買ったんだ。これからも有効活用していくよ」


 キャッチャー問題は結局解決しなかった。

 伸二がなんとか捕球を試みようとしたり、俺も高校の友達何人かに付き合ってくれないかと声を掛けてみたんだけど。


 この島に住んでる俺ぐらいの年齢の人達は、大体親の手伝いで忙しいんだよね。俺や伸二は今でも旅館の手伝いをしてるし、大体の子供はこの島で働いてる親の跡を継ぐ。


 俺ぐらいの年齢になると、本格的に手伝いが忙しくなってくるし、俺達の遊びに付き合う暇がないんだ。


 親の跡を継がない人達も、本島や内地の大学に進学する為の勉強で、やっぱり遊んでる暇がない。まあ、この高校には一人スポーツでとんでもないバレーの選手が居て、推薦で大阪の大学に行くって奴も居るんだが……。


 それはさておき、もうこれは仕方ないよねと、俺と伸二は家のお手伝いで貯めたお金を使って、ネットでピッチング用のネットを購入した。


 しかも、ネットにストライクゾーンを9分割にした的がある、ちょびっとお高めのやつだ。まあ、俺も伸二もお手伝いで貯めたお金は、学校の付き合いで使うぐらいだったから、結構持ってる。


 我が家はそこそこ繁盛してる旅館だから、両親はお小遣いも奮発してくれるのだ。


 それと、投球ネットと一緒にスピードガンも買った。今はスマホのアプリでも速度を測れるけど、まだまだアバウトみたいなんだよね。これまた、良いお値段はしたけど後悔はない。


 ステータス上、170km投げれても、本当にそれぐらい出てるかどうかなんて、測ってみないと分からないし。


 そんなこんなでキャッチャー役は投球ネットにお願いして、改めて練習を始めた訳だ。まあ、全然思ったところに投げれなくて、苦戦してるけどね。


 旅館の横にある大きな空き地。

 一応ここも両親が持ってる土地で、好きに使っても良いと言われたから、本当に好きに使わせてもらってる。


 ピッチャーからキャッチャーまでの距離をしっかりと測って、投球ネットを設置する。わざわざ土を盛ってマウンドまで作ったんだ。


 「一馬はやっぱり野球がしたかったのか?」


 「いや、まあ、出来たら嬉しかったけど、中高と部員が居なかったし…。お遊びでやってるだけだから、気にしなくて良いよ」


 流石にここまで大掛かりなセットをすると、父さんにも声を掛けられる。


 暇さえあれば、旅館近くの砂浜で泳いだり、伸二とトレーニングしたり。滅茶苦茶真剣に色々やってるからね。そのくせ、部員不足って理由があるとはいえ、野球部には入らない。


 投球ネットやスピードガンまで買ったとなれば、そりゃ親は気になるだろう。


 だけど、これはもう趣味みたいなもんだから。ポイントを貯めたくて、ステータスの見栄えをよくしたくて。そんな感じで始めたけど、すっかり日常の一部になってる。


 趣味に全力を投じて、お金を使ってると思ってくれたら良い。海で泳ぐか、観光名所の景色を楽しむぐらいしか、この島には娯楽がないからね。


 まあ、この島じゃなくて、本島とか内地に生まれてて、このステータスがあれば野球をやってたんだろうなぁとは思うけどね。今でも充分楽しいし、野球をやれなかったのは少し残念だけど、落ち込む程でもない。


 部に入ったらここまで効率重視の練習が出来たか分からないしさ。


 「よーし。兄貴はまず足腰を鍛えようか。身長が伸び続けた関係で、上半身はいい感じに仕上がってきてるけど、下半身はまだまだだ。コントロールを付けるには指先の感覚以外にも、しっかりと身体を支える下半身も重要になってくる。ビシバシいくよー!」


 「下半身のトレーニングは上半身よりキツいって聞くけど……。また辛い日々の始まりだなぁ」


 マウンドが完成したなら投げまくれると思うかもしれないが、どうやらボールの投げすぎもよろしくないらしい。


 メジャーではピッチャーが投げる球数は、厳密に管理されてるとかなんとか。伸二が教えてくれました。


 『ケガしにくさ』ってスキルはあるが、過信のし過ぎもよろしくない。


 投げるとしても毎日50球〜100球。

 これも集中力が切れたらやめて、別のトレーニング。量より質を重視して、毎回ゆっくりと意味のある練習をしていきたい。


 毎日もやり過ぎかもだが、その辺の加減は今の所俺達には分からない。俺の体調や肩や肘の調子を見て、柔軟に対応していくつもりだ。


 キャッチャー問題も一応解決して、ようやく170km投げてやるぜ計画が本格始動したように思う。ただの自己満で投げたからなんだって話ではあるんだけど……。


 俺と伸二が楽しければそれで良いよね。


 「へへっ。兄貴の下半身をとことん虐める練習メニュー。もう考えてあるんだ」


 「お前、俺の事嫌いとかじゃないよね?」



 なんて美しい兄弟愛があってから一年が経過。

 高校三年生になった春の頃。


 俺はとある人物と出会う事になる。



 ☆★☆★☆★


 【ステータス】

 弾道  1

 ミート G(0)

 パワー B(71)

 走力  B(74)

 肩力  B(79)

 守備力 F(37)

 捕球  D(51)


 球速 157km

 コントロール D(57)

 スタミナ   A(89)


 【経験ポイント】

 筋力  84

 敏捷  1037

 技術  16

 変化球 368

 精神  604


 【投手スキル】

 『球持ち⚪︎』『ノビ・D』


 【共通スキル】

 『ケガしにくさ・S』『人気者』

 『ムード◎』『回復・C』


 ☆★☆★☆★

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