第6話 焦燥感

 どうして?


 祖先を犯した罪を侘び、こうして光を超えて迎えに来たというのに。

 彼らはどうなっているのだろうか?


 慣性で動くしかない宇宙船に閉じ込められ、当てのない放浪を続けるのがいいと 云うのかしら?


 わからない……


 地球がどんなに素晴らしい場所かを説いたといても、彼らは首を縦に振ることはなかった。どうしてもこの狭い円筒形の宇宙船を捨てて、地球故郷へ戻りたくないと云う。


 そこで復興した地球の姿を映像で見せても返答は同じだ。


 たしかに彼らの持っているアルバムの中の地球は、小惑星が衝突する以前の姿。その姿をほぼ取り戻すことに、ワタシ達は全力を注いだ。ワタシ達の故郷……いえ、彼らの故郷でもあるはずなのに――。


 光を超えることもできず、宇宙を放浪させた彼らの祖先のことを思うと、よほど恨みがあるのかしら? 地球の人々に――。


 ここで引き下がるわけには行かない。ワタシの使命は彼らの

 安全なゆりかごの中太陽系に連れ帰らなければならない。


 もう無意味な宇宙探査なんてしなくてもいいのよ。


 隣人はいない。


 ワタシ達はそう結論づけたわ。

 なのに迎えに来たワタシ達を追い返そうとしているのは、なぜなのかしら?


 1000年近くも宇宙を放浪し、種としてワタシ達とかけ離れようとしていても、同じ地球人じゃないの?


 わからない……


 何故こんな小さな宇宙船にこだわるのか――。

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