第3話:「無職」スキルしか持ってないのに意外と無双してる

「次の方~……って、あれ、今回珍しく普通っぽいな。」


入ってきたのは、冴えない顔にジャージ姿の青年。

こんなファンタジー空間にジャージで現れる時点で、すでに若干浮いてるのだが、態度も至って普通。


「どうも、えーっと……佐藤海斗です。」


「うん、まともっぽい!よし、今のうちに安らぎを味わっておこう……スキル確認しようか?」


「はい……スキルは、『無職LvMAX』って出ました。」


「いやそれ、バグじゃない?『無職』ってスキルにする意味ある?てかMAXって何だよ。」


「わたしもそう思ったんですけど、なんか……意外と万能なんですよ。」


「ほう、詳細求む。」


「えっと、戦闘になると敵に舐められて警戒されないんです。その隙に背後から殴ると大ダメージが入るんです。」


「それ……戦術スキルじゃなくて、卑怯者スキルじゃね?」


「あと、装備がなぜか勝手に自動で落ちてくるし、どこに行っても寝床が見つかります。」


「野良生活への最適化スキルだった……。」


「しかも、王様に会っても“無害”判定されて放置されました。」


「忍者かよ!?何その“印象スルー”スキル!」


これはまさかの、最弱装い系最強枠。

誰も警戒しないけど実はチート、という一番タチが悪いやつである。


「じゃあ今の目標は?」


「……のんびり生きたいです。労働とか……もう、嫌なんで。」


「……うん、それだけは共感するわ。」


転生者コード:KAI-0387

能力:無職LvMAX/戦闘特化ステルス型/引きこもり願望


さて、そろそろ胃薬の在庫確認してこよう。次のヤツは、また重そうだな……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生者の記録係だけど変なのしかいない件 @fuu349ari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ