毎週の夢

 担任の教師が警察に逮捕されるという夢を見た次の日、その内容は現実になった。


 男子高校生の菊田が登校すると、担任の代わりに教頭がホームルームを始めた。

 教頭は詳しい理由を説明しなかったが、放課後帰宅する頃には、もうニュースとして報じられていた。


 女子更衣室に小型カメラを仕掛けた疑いで高校教員を逮捕——。


 そのニュースの見出しも、菊田が夢で見たものと同じだった。

 菊田は気味が悪かったが、しかし「正夢 本当」でネットを検索しても参考になる情報は見つからず、やがて考えることを諦めた。

 




 次に夢の内容が現実になったのは、担任教師の逮捕のちょうど一週間後だった。


 朝登校すると、校舎の一階が水浸しになっていた。

 教員の一人が昇降口に立ち「水道管の破裂で今日は臨時休校です」と言っていた。

 だから菊田は踵を返したが、それらはすべて前夜に菊田が夢で見たのと同じ光景だった。


 菊田は、夢が続けて実現したことに怯えていた。

 友人に相談しようにも、どう相談していいかわからない。

 本当に自分が見た夢が、現実になっているのか。

 すべて気のせいという可能性はないのか。


 しかししばらく考えて、これはむしろ幸運ではないかと気がついた。

 なにせ、見方を変えると、自分は未来を予知できているのだ。


 前夜という制約こそあれ、翌日に起きる出来事がわかる。

 内容によっては、いずれ金儲けにも応用できるかもしれない。

 そう考えると、菊田は笑いそうになった。


 地上でただ一人だけの未来予知者。

 菊田は、さらに一週間後が楽しみになった。




 そして一週間後、菊田はまた夢を見た。

 それは、菊田自身が血まみれになっている夢だった。

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