温暖化対策
その地球でも、地球温暖化が問題になっていた。
「ついに完成したぞ!」
郊外にあるとある研究所で、一人の博士が叫んだ。
「博士、ついに完成したのですね!」
助手が博士に駆け寄る。博士の隣には、大型の装置が置かれている。
「これで地球温暖化も解決するかもしれない……」
そう言って博士は、装置に接続したノートPCを操作した。
直後、装置が冷風を吐き出し始めた。
「博士、やはり仮説は本当だったのですね」
「そうだ……『寒いギャグ』の寒さを利用して、空気中の熱を奪えるという理論は、正しかったんだ!」
寒いギャグの寒さを利用した冷却装置——その晩、博士たちは装置の完成を祝して、宴に酔いしれた。
数日後、博士の研究所を一人の役人が訪ねてきた。
博士の研究には、政府から地球温暖化対策の補助金が投入されていた。そのため、役人は研究成果の確認のために来たのだった。
「博士、それでは早速装置を見せてください」
「いいだろう、きっと政府の役にも立つ代物だ」
そう言って博士は役人の前で装置を作動させた。
「なるほど、寒いギャグで物理的に冷却する装置……ちなみにその寒いギャグというのは?」
すると博士は、後ろめたいことでもあるかのような弱々しい口調で言った。
「その……一般人のSNSの投稿とか、売れてない芸人のYouTubeとか……そういったところから集めた寒いギャグを、装置に接続したパソコンから入力していて……」
そんな博士の説明を聞くなり、役人の表情は険しいものになった。
「それでは第三者の著作権の侵害です。この場合、政府からの補助金は打ち切りのうえ返納していただくことになります」
「そんな……!」
補助金は装置の開発に使ってしまった以上、返せと言われることは、博士にとって死活問題だった。
役人は変わらず冷徹な口調で続けた。
「問題なのは著作権の侵害です。再調査の日までに、代わりの寒いギャグを博士たちご自身で用意していただければ、問題ありません」
一筋の希望だった。博士はその希望にすがるように、再調査の日までに代わりの寒いギャグを用意すると約束した。
後日。
再調査に来た役人の前で、装置は作動しなかった。
博士たちが考えたギャグはクオリティがあまりにも低く、寒いを通り越してギャグの体をなしていなかった。そのため、装置が寒いギャグとして認識しなかったせいだった。
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