ぺぽ

まも

ぺぽ

 「ぺぽ」

 小学校からの帰り道、不思議な生き物に出会った。

 それは白くて、ふにふにしていた。ランドセルよりも小さい。

 その場にしゃがみ込んで、よく観察してみる。

 ……こんないきもの、見たことない。

「きみ、なんていうの?」

「ぺぽ」

「ぺぽ?」

「ぺぽぱ」

 と、その場で小さくはねた。それにあわせて体がぷるぷるしている。

 それからぺぽは私の周りをくるくるして、こっち、というように小さくはねた。

「そっち?」

 気になって、ぺぽのあとをついて行ってみることにした。


 ぺぽが私のペースに合わせて進んでくれる。

 しばらくして、ぺぽがこっちを振り向いて、嬉しそうにはねた。

 そこは、山の方へ続く道だった。

 ぺぽは、楽しそうにぴょんぴょんはねている。

 こっち、こっちと言っているようだった。

 少し迷ったけれど、気になったからついていってみることにした。

 

 道のような、道じゃないような道を進む。空が少し、赤く染まり始めていた。

 おかあさんに怒られるかな……と思いながら、それでもやっぱり前にすすんだ。

 ぺぽの後をついていく。いつのまにか、ぺぽはぼんやり光っていた。

 風が吹いた。風が吹いて、葉っぱがざわざわ言っている。


 どれくらい歩いたか分からない。

 空が暗くなりきってしまったころ、ふいに前がぼんやり明るくなった。

 恐る恐る近づいてみる。

 ……そこには、ぺぽみたいな白い生き物たちがたくさん集まっていた。

 でも、よく見るとみんな少しづつ形が違う。

 のっぽな子にちっちゃい子、ちょっとカクカクしている子……形はちがうけれど、みんなぼんやり光っていた。

 このあたりだけ昼みたいに明るかった。

「ぺぽ」

 たくさんのぺぽたちが、小さくはねる。

 まるで、私を待っていたみたいに。

 私が座れるように、みんながスペースを開けてくれた。

 そこに座ってみると、ふかふかの葉っぱがしいてあって、なんだかほっとした。

「ぺぽ」

 私をここに案内してくれたぺぽが何かを差し出してきた。

 葉っぱにくるまれたなにか。あったかい。

 ぺぽが小さくはねる。そっと開けてみた。

 ……たべものだ。

 そういえば、お腹が空いていた。

 おそるおそるかじってみる。


 ……おいしい。

 あったかかった。

 あったかくて、なんだかふわふわ眠くなってくる。

 きょうは少しだけ、ここでぺぽたちと眠ることにした。

 

「おやすみなさい」

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ぺぽ まも @mamo921

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