第13話 窓から見る新たな世界

ほのかから兄妹と言われた。

しかし俺達は兄妹どころか付き合っている。

それで兄妹ってそれは...。

考えつつ俺は横に寝ているほのかを見る。


「あの頃はこんな事出来ましたか?」

「...出来る訳無い。アイツがあんなだしな」

「ですね。嬉しいです」


それからほのかは俺に近づいて来る。

それから寝たまま俺を抱きしめてきた。

胸にすっぽり収まる形になる。

俺はその事に「ほのか...」となる。

ほのかは目を閉じて開ける。

それから「愛してます」と笑顔で告げてきた。


「...」

「お兄ちゃんが好きです」

「そのお兄ちゃんっていうのは...止めてくれ。俺はお兄ちゃんじゃないぞ」

「でも私はお兄ちゃんが好きです」

「...そ、それは分かる」


全くコイツという奴は...。

俺はほのかをゆっくり抱きしめる。

良い香りがする。

俺みたいな人間が幸せになっても良いのだろうか?

そう考えながら俺はほのかを見る。

ほのかは猫の様な穏やかな顔をしている。


「...お姉ちゃんは」


そう呟いた。

俺は「?」を浮かべてほのかを見る。

ほのかは「...」となりつつ「お姉ちゃんは最低です」と言った。

それからニヤッとする。

俺は「???」と疑問符を浮かべながら見ていると「でも彼女はあくまで間違った道を選択しましたね」とにやついた。

何故そんな顔をするのか、と思っているとほのかは「お姉ちゃんはこんなに良い人を捨てた。見る目が無いって事ですね」と答える。

ああそういう事か。


「お姉ちゃんとは絶交します」

「...」

「貴方と幸せになりたい」

「...俺とか」

「そうです」


それからほのかは俺の頬に手を添える。

そして柔和な顔をした。

俺はそのほのかの様子に「...いつか俺もお前を心底愛せる様になりたい。だから協力してくれるか」とほのかの頬に手を添える。

するとほのかは頷いた。


「当たり前です」

「そうか」


そして俺は「寝るか。明日も忙しいしな」とほのかに告げる。

それから俺は電気を落とした。

するとほのかは「はい。寝ましょう」と言ってから俺の横でゆっくりした。

俺はその顔に「おやすみ」と告げた。



翌日になってから俺はゆっくり起き上がる。

すると横でほのかは寝たままで居た。

時刻は起きるには1時間ぐらい早かった。

俺は起き上がったままほのかを眺める。

改めて見ても相当な美少女だ。

俺には心底勿体ない気がするが。


「...」


俺は寝転んでから部屋の天井を見上げる。

そして俺は充電ケーブルに繋いでいたスマホを手に取った。

充電器から外して眺める。

今日の天気とか。

すると時間が経っていた。

タイマーが鳴る。


「...むにゃ」

「おはよう。ほのか」

「アハハ。おはようございます」


それからほのかは伸びをしてからベッドからゆっくり降りる。

というか成り行きで一緒に寝てしまった。

なんてこったい。

考えつつ口元を覆う。

何をしているんだかな。


「お兄ちゃん」

「なんだ」

「実はサプライズがあります」

「...サプライズ?」

「はい。ちょっと待っていて下さいね」


それから俺の部屋から出て行くほのか。

そして戻って来たその手には俺の学校の女子生徒の制服。

え。

絶句しながら俺はほのかを見る。


「...ま、まさか」

「転校します。お兄ちゃんの学校に行くんです」

「...彼女には話したのか?お前の友人には」

「はい。「ラブの為なら仕方がないねぇ」って言ってます」

「オイオイ」


そして俺は唖然としながら居るとほのかは制服を嬉しそうに見てから「あの私の通っていた前の学校は窮屈でした。自由が無い感じがしたので」と心を弾ませる様に言う。

俺は「...!」となりながらその姿を見る。

それから「...そうだったんだな」と返事をした。


「私は自由が欲しいです。そして自由な恋愛がしたいです」

「ただそれだけで全てを諦めて良かったのか?」

「私はこれで良かったって思います。...まあ友人達か離れるのはキツイですけど...その友人達も私の行為を応援してくれました」

「...そうだったんだな」

「はい。...だから私は...絶対にその気持ちには応えたいです」

「...」


俺はニコニコするほのかを見る。

ほのかは「...じゃあ準備しましょうか」と笑顔になる。

その言葉に俺は「...嬉しそうだな」と苦笑する。


「それは当たり前でしょう!愛しい人と一緒に学校に通えるんですからね」

「そうか」

「お兄ちゃんと一緒に通える。そんな嬉しさは...人生で初めてです」


あの頃。

萌と付き合っていた時代にそう同じ事を萌から言われた。

なのになんであんなに歪んでしまったのか。

彼女は取り返しがつかなくなったのか。

よく分からない。


「...萌も同じ事を言っていた」

「え?」

「...だけどお前のその愛情のパターンは全然違う。奴はあくまで心からの感情じゃなかった」

「...!」

「ありがとう」


そして俺は「あ、すまない。じゃあ準備しようか」と笑みを浮かべる。

それから俺はほのかに部屋から出てもらってから着替える。

そうしてから俺は準備をして窓から外を見る。

なんか...全てが違って見える。

これが兄妹とか別世界になるという事なのだろうか?

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