イヴリンゴ禁果実験

@jyumaa

第1話 はじまりのリンゴ

一年生の5月

出恋いでこいみのりさん、好きだ!」

「なんでですか?」

本当に変な事が起きてる!

隣の席のイケメン赤ノ原 大ノ助くんに告白をされた。

今は放課後、HR直後にみんなの前でだ。

「なぜ好きなんですか?」

「君が購買の幻リンゴパンを食べたからだ。」

「??、何故?」

「とにかく、僕のプリンセス。これから結婚を前提に付き合ってくれ!!」

周りの目が気になる。

ざわざわとしているからやめて欲しい。

それより購買の幻のリンゴパン。

それは、一回だけしか食べる事の許されない謎のパン。サイズの少し大きなパン。

誰でも買う事の出来るリンゴパンだが、

そのリンゴパンを二度目を食べると不味くて吐き気がするらしい。

代わりに一度目がとてつもなく美味しい。

学校の中でも有名な噂のリンゴパンだ。

そして今日の昼前に彼から無料チケットを貰って、それを使って今日買って食べてみた。

「まあ、場所を移そう。」

彼に引かれて校舎裏。

さあ説明してもらおうじゃない。

「どういう事?貴方ほどのイケメンなら私以外の美人な女性にでも行ってもいいんじゃない?」

「僕ほどの変人を好いてくれる人もいないけどね。ハハ!!」

ハハ!!じゃないよ私にも来ないで。

「急に言われても困りますって。」

「恋ほど急激で見切り発車なものはないだろう?」

「うん...まあそうだけど。」

「じゃあ」

「じゃあじゃなくて。急にはなんか嫌です。

せめてなんかちゃんと告白して下さい。」

「僕はここの学園を殆ど手に入れているようなものだからねぇ。」

「...そんな話ですか。これも。」

彼は学園の理事長の息子。

そしてこの日ノ水高校を運営している赤ノ原グループの御曹司。

まさに金持ち。欲しいものは全て手に入ると思っているのが目に見えている性格だ。

「そんな態度は嫌です。」

「ああ、少し意地悪だったね。ごめん。」

「謝って貰いたい訳じゃないんですよ。

後、購買のリンゴパンって言いました?」

「そうだよ。それが全ての元凶さ。」

「リンゴパンに何があるんですか?」

「イヴリンゴ禁果実験。」

イヴリンゴ禁果実験。

私はこの時知らなかった。

これがこれからの最大級に面倒で面白い毎日を彩る事になる事を。

「それがなんだっていうんです?」

「僕達赤ノ原グループは法をすり抜けてとある治験をこの学園でしている。それがイヴリンゴ禁果実験。購買の幻のリンゴパン。それはイヴリンゴが使われて作られたパンだ。

そのリンゴを食べさせる為に作ったメニュー。

そのリンゴを食べれば特殊能力に目覚める。

そして一つだけしか体に受け入れない。

それがイヴリンゴ。」

「な、なんてものを食わせてるんですか!?」

「そして僕の紹介で好きなリンゴを君に食べさせた。君が僕のちょっとタイプだからねぇ。だから僕は君の能力で無事君に恋をする事が出来たんだ。」

「恋ですか!?」

「そう、恋だ。それは君の能力でもあり、今の僕の感情。そして君も僕を好きに...」

「ならないです絶対に!なんてもの食わせてるんですか私に!?」

「まあ一度実験をしてみよう。君が僕の事を好きになるかどうか。」

「嫌です!私が嫌です!」

「いや、僕は君の感情をその能力が書き換える可能性を知ってるよ。君の心の動きを捉えて反応する事は知っているんだ。」

この人はなんて事をしているの!?

「私、もう帰ります。」

「さあ、明日からゲームだ。君が僕に心を動かさないかどうか。」

「ゲームだと楽しめるのは貴方だけですよ! さようなら!」

そして翌日...

学校の始まり、授業の始まる前...いつもの真ん中の後ろの席を左右で二人。

「やあ!おはよう!」

「何ですか。」

「さあ、話をしよう。何でもいい!コミュケーションをとっていれば時期に僕の事を好きになるさ!」

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