第2話 万砲者

会話しません!来ないでください!」

心が動くと何かが起きる、彼の妄言のようなその言葉は嫌に信憑性があり、

その力が体を駆け巡っている事を感じる。

「さあ今日の授業はどうだい?楽しみかい?」

「まあ、授業は楽しみですけど。」

そして授業が始まって、彼は私に話しかけてきたが、ことごとく無視、無視!

休み時間にも

「ハハ!その問題僕が教えてあげるよ!」

無視!

体育の時間

「君は女子の中でも輝いてるね!」

無視!

とにかく無視してやった。

5時間目の授業中

「あれ、消しゴム切れちゃった...」

私の愛用していた消しゴムが小さくなりすぎて

もう消せない。

「ん?出恋。」

「何。」

「僕が消しゴムをカプッって分けて君に分けてあげよう!」

え、分けてくれるの?意外に優しい。

「そして、イチゴの匂いだ。しかも匂いの強い方を渡してあげよう。」

匂い消しゴム!

ギャップ萌え!ってダメダメ!

「ありがとう。でも貴方の事は好きにはならない。」

「んー、ダメか。でも君は案外人を好きになりやすいんじゃないか?元々。」

「そんな事ありません!」


キーンコーン

カーンコーン


チャイムがなり、授業が終わる。

「さて、君に伝える事がある。」

「何ですか?」

「リンゴの効果で僕を好きになるかどうかと言うのは全くの検討違いだったようだ。」

「ですよね!貴方の事余計に嫌になりました!」

「流石に傷つくねぇ。でもこれはさせてもらう。」

そうすると、大ノ助が手を差し伸べて

みのりの髪の毛を一本

「いてっ」

「君のDNA採取をしときたい。」

「さながら実験動物ですね。」

「これは実験だからね。」

「じゃあ赤ノ原さん、ごめんなさい。あなたとは付き合えません。さよなら。」

そして下校をする。

そして下校中...

学校を出てすぐの団地の前を通って

私は帰っていた。

「本当に失礼だったわ。大ノ助くん。」

「おう女!ちょっと遊ぼうぜ!」

「遊ぼうぜ嬢ちゃん!」

別の高校の不良3人が絡んできた。

やばいっ、捕まるとめんどくさい。

しかし団地裏に誘われてしまう。

「やめてください!私に近寄らないで!」

「ほら、俺と付き合えよ!」

不良が絡みながら壁ドンをしてくる。

「キャー壁ドン、これは俺たちと付き合うしかないねえ。」

「3人とは付き合えないじゃないですか!」

「いやあ、意味が違うよ嬢ちゃん。そう言うところ恋愛脳でチョロそうだね!」

「辞めてくださ...」

「ちょっと待ったー!!」

「!?何物だ!」

「赤ノ原 大ノ助。俺がきたからには大丈夫だぞ、みのりん!」

「みのりん!?その呼び方辞めてください。」

「そうだ!俺たちが先だこの子は!」

「リーダー、あいつは日ノ水高校のボンボン

赤ノ原ですよ!」

「そうか、じゃあお前をボコして金を巻き上げてやるぜ!」

これはやばい。この人目のつかない団地裏、彼が金持ちなのを利用して金を巻き上げられる。

「みのりん。」

「だからみのりん辞めて!」

「まだ伝える事がある。イヴリンゴの蔓延る学園に僕程の重要な人間がやってきたのか。」

「ん?なにいってやがんだ!」

まずい、不良が襲いかかってくる!

「僕こそが最大の被験者だからだよ。」

「ズドン!!」

鈍い爆音が鳴り響き、下っ端の不良がふっとばされて団地の壁にぶつけられた。

「赤ノ原くん!すごい!」

「万砲者、僕は砲撃モンスター。触れるものに衝撃を与える事が出来る!」

「オラッ!」

もう一人、不良が殴りかかる。しかし、触れる前にまた吹き飛ばされる!

「ウアアア!」

吹き飛ばされて、不良は残りリーダーの一人になった。

「何だコイツ!」

「万砲者の力の元には、一般人は無力!」

「クソ!ならば...」

「キャッ!」

「ま、待て!この女がどうなってもいいのか!?」

みのりが人質に取られる。

「ナンパしていた子を人質とは、酷い扱いをするもんだね。」

「うるせぇ!お前の彼女がどうなってもいいのか!?」

「彼女じゃないです。でも...」

「ん?なんだあ?」

「彼を少しは気になって来てるんです!」

みのりの目が変わる。力強い目に。

「何言ってんだお前、ウッ、頭が...痛い!!」

「リンゴがみのりんの心の動きを捉えて反応する。彼女の能力も覚醒したのさ!

そう、その能力は、精神掌握!危険なイヴリンゴだからこそ僕の付き合い相手にあげる最高の実験体!だから、ますます恋するんだ君に!」

「自分の精神を曲げられてもいいっていうマッドサイエンティストは引きますが、

この力で!」

「ウアアア!俺は、悲しいのか!?苦しいのか!?なんだこれは!!」

みのりの力で不良のリーダーを混乱させ、不良の手からみのりは自力で脱出する。

「バタッ」

そして不良が倒れた。

「さて、今一度好きだ!君の力と美しさ!付き合ってくれ!」

「うーん、ちょっとした友達からならいいですけど。」

こうして、私と彼との禁断の学園生活が始まった。



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