「始まりで終わり」と題されたこの物語。誰かの残した言葉が、心を動かし、時間を変えていく。少女の想いと、それを受け取った青年の姿が静かに重なり合い、タイトルの意味が、読み終えたあと深く沁み渡ります。“君がいない夏を、君と生きた夏に”その一行に、すべてが込められているようで。切なく、そして静かに感動を与えてくれる──そんな一篇でした。