第2話


 コンコン。


 部屋の扉を叩いてから開く。

 少女が窓辺に座って髪を結い上げていた。

「ちょっといいかな」

 伺うように話し掛ける。

 もうこの少女が来て二週間にはなるが、実はエドはまだあまりミルグレンとは話していない。

 というのもとにかく彼女はメリクが好きで、彼がいる時は彼にべったりとくっついているから、話し掛けるようなきっかけが無かったのだ。

 でも食事を共にしたりする中で、おはようとかありがとうとか笑い合うことはあって、印象は悪くない。

 明るくていい子そうだ。


 ミルグレンが来てからエドアルトがメリクと一対一で話せる時間は極端に減ってしまったけどミルグレンには何となく、彼女のそういう行動を仕方ないなぁと微笑ましく見守りたくなってしまう、そういう雰囲気があった。


「メリク様は?」


「あ、うん。ちょっと次のルート見に行くって。多分そんなには掛からないと思うよ。明日明後日には戻るはずだから」

「ふぅん」

「食事なんだけど、宿の人に頼めば出してくれるから。俺、今から伝えて来るよ。一緒に朝ご飯食べよう。下の食堂でもいいよね?」

「うん」

 素直に頷いたミルグレンにエドアルトは安心する。

 そうだ。折角なんだし食べてる間に色々話をしてみよう。

 そんな風に考える。

「多分すぐ食事出来るけど。もう行ける?」

「先に行ってて。準備してから行くから」

 見た感じミルグレンの準備は出来ていたが、女の子の準備はなんかもっと色々あるんだろうとエドアルトは大雑把に考えて頷いた。

「うん、分かった。先に行って待ってるよ」



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