それ大丈夫? SNSでやりとりをしているその子、本当に親友ですか?
しゃもこ
第1話 好奇心
「ただいま。」
あやなは誰もいないとわかっている玄関に向かって帰宅を報告した。玄関に自分の声だけが響く。
家には誰もいないっ!
去年までは学校が終わったら学童に行っていたけれど、小学校5年生になると学童には行けない。まあ、行ったって楽しくはないけど。
でも誰かいるって、やっぱり安心、だったのに。
うちはお父さんもお母さんも働いているから、お母さんが帰ってくる19時位までは、1人だ。
帰ってから一人ぼっちでは寂しいから、犬とか猫とか、なんならハムスターでもいいからペットが欲しい、と言ったけれど、
「誰がお世話するのよ⁈」の一言で却下された。
お母さんはいつもこうだ。
私がお世話したかったのにな、とあやなは思った。
さみしいなあ。
音がない ひとりぼっちは 静かすぎ
誰かいないと 淋しいんだよう
あやな 心の短歌。なんちゃって。
ひとりつぶやきながらあやなは靴を脱ぎ、ランドセルを背負ったまま冷蔵庫を開けて、麦茶を飲もうと麦茶ポットに手をかけようとしたとき、
ポットに1枚の紙が貼ってあった。紙にはテーブルの上を見て、とだけ書いてある。
あやながテーブルの上に目をやると、そこには、小さな箱が置かれていた。白くてつるつるしたパッケージには、有名な果物のマークが入っている。
「本当にスマホ買ってくれたんだ!」
あやなは1人で拍手した。
やったあ!私が一人で家にいる時間が長いから、ペットがダメならせめてスマホが欲しいと言ったら、
じゃぁ100点のテストが5回続いたらね、とお母さんが言ったのだ。
言ったね?
だから頑張った。結果的に、100点のテストが5回続いた。
あやなは、いつになったら、スマホを買ってくれるのかなあと思っていたけれど、
お父さんもお母さんも忙しくて、なかなかスマホを買いに行ってくれないから、ちょっと諦めていたところだった。
こういうこと、うちの親は、よくある。ユニバーサルスタジオもディズニーも、まだ連れてってもらってない。行く行く詐欺だ。
でも今回は約束を守ってくれたんだ。うれしい!
あやなは箱を開けた。私のスマホ。私だけのスマホ。そっと触ってみると、電源が入った。わあーい!
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