貴方の花が枯れるまで

佳尾ほむら

プロローグ


 かつて魔法が栄えていた世界は、過ぎ去る時代とともに魔法をなくしていった。


 小さな魔法が残っている世界。

 人々は魔法をなくし、今では魔女の子孫だけが小さな魔法を使える。

 魔女の子孫は人々に、小さな魔法を贈るようになった。友達に手紙を送るように、依頼人の願いをかなえるように。

 だが、魔女の子孫も時間とともに血が薄くなり、減少していく。


 そして魔女の子孫が数少なくなった時代が、月羽つきはね 祈莉いのりの生きる現在である。


 祈莉は今日も、小さな魔法を贈る。


(……あぁ、どうか)


 人々に魔法を贈り、日々女子高生として過ごしている祈莉は、毎日のように今日も願う。

 世界で最も大切な人を思い浮かべて。


(貴方の花が、枯れるまで)





〖貴方の花が枯れるまで〗

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