第38話:連邦の日常
「はー。落ち着く」
で、バーングレイス帝国における銀行運営もそこそこ上手くいって、俺はエデンガーデン連邦にて普通に休日を過ごしていた。コーヒーを飲むのも当たり前。最近は蜂蜜をバーングレイス帝国から買い取っており、それによって甘味のバリエーションが増えていた。代わりにこっちからも果実の類を供給しており、つまりそこそこ市場における需要と供給は請け負ってる。蜂蜜は甘味として完成されているし、うまくエデンガーデン連邦にとっては利益を得れるだけの根幹はある。
「アーゾル様」
「何か?」
「砂糖を輸出したいのですが」
ダークエルフがそんなことを言って、俺が許諾する。別段俺に許可を得なくても、好きにすればいいのだが、そこはやはり俺に許可を取らないのも不和を発生させるのだろうか。
「養蜂箱を用意するのもいいんだが、技術がなぁ」
ギルメートなんかは普通に適応しているが、一般的には森林なので人が住む程度の利便性はそんなにない。食べ物に関しては文句のつけようがないのだが、発展性というか、住居性においてはイマイチ。そもそも森林には敵対種であるゴブリンやトロール、場合によってはその上位種が発生する。いわゆる人間そのものに敵対する種族であるから和解することも出来ず。襲ってくれば殺すだけ。なので人がこのエデンガーデン連邦に適応するのはかなり難しい。
「ギルメート。今どれくらい財産は集まってる?」
「総合すると十億を超えるくらだぁよ」
少ないと感じるかもしれないが、そもそもマネー経済が発達していないのだ。億を超えるだけでも国家予算に相当する。言ってしまえばその経済革命を今俺たちがやっているのだが。
「多分このまま財産を持ち逃げすると、オールゴール王国とバーングレイス帝国は傾くだぁよ」
「やってもいいが、一応呪術誓約で保管している金だからな」
「それでもアーカーバンクの発言力はかなりのものだぁよ。ぶっちゃけ王室に苦言を呈せるレベルじゃない?」
「…………ほわー」
で、話を聞いていたルミナスが驚く。話が次元すぎて、あまりついてきていないのだろう。このまま経済を握りつぶすレベルまで推し進めて、ついでにギルメートをお金持ちにすれば、後は言うことは無いんだが。
「本当にボクが握っていいんだぁよ?」
「そもそも金に興味ないし」
俺はギューッとルミナスを抱きしめる。いい香りがして、抱き心地も抜群。ルミナスを抱きしめるだけで俺は幸せだと声を大にして言える。
「…………ママ……大好き」
「俺も大好きだぞ」
な、わけで、金回りに関してはギルメートが好きにしてくれて構わないわけだ。
「と仰るなら、好きにするけどもだぁよ」
「出来れば持ち逃げとかはしないでくださると」
「命の危険が無い限り、応じるだぁよ」
そこら辺は大丈夫だと思うんだが。実際にエデンガーデン連邦では訓練も兼ねて俺の本体が反転領域を拡張している。エデンガーデン連邦そのものがエルフとドワーフの聖域であるから、そこそこ戦力は揃っているし。戦争になっても一国くらいならどうにかできないこともない。
「ガチでアーゾルには逆らわないだぁよ」
「ギルメートを脅す気は無いんだが……事実上脅しているわけか」
難しい話だ。
「キスしないだぁよ?」
「キス?」
と仰いますと。
「アーゾルとそういうことがしたいなぁってだぁよ」
「…………?」
もちろんルミナスに意味が分かるはずもなく。
「ていうか。今の俺は女なんだが」
「ボクも女だぁよ」
実際にギルメートは美少女だ。退廃とした空気を纏っているが、プラチナピンクの髪色が綺麗な美少女。俺の人格そのものは男なので、もちろん可愛いなぁとか手を出したいとかは思っていた。
「ええと。やっていいので?」
「っていうか、こっちから打診したいくらいだぁよ」
「そっかぁ」
「…………ママ……何するの?」
「仲良くしましょうってこと」
ムギュッと抱きしめる。冷静に考えると、ルミナスにもいつか好きな人が出来るのかもしれんのよな。こんなに可愛い女の子なんだから、男子にも女子にも惚れられるだろう。ある意味では俺とは母娘の仲なので、性的には最も遠い。ちくしょー。
「じゃ、夜待ってるからだぁよ」
「はいはい」
そもそも俺って女性に見えているよな? 女子にも性的に見られているって話であっているのか?
「…………ママ……モテモテ」
恋心なんて知らないだろうから、何を言っているのかも分かっていないだろうけど。ただ俺が想われているだろうことは、ルミナスにも把握できているらしかった。南無三。
「アーゾル。酒でも飲まんか?」
今度はゴーティ親方ならびに、移住してきたドワーフが酒の席に誘ってきた。アルコールか。ルミナスの教育上いいのかと思うこともないではないが。
「じゃあ飲むか」
そんなわけで、酒盛りをする。最近は肉の乾燥方法も取り入れて、つまみが増えていた。やっぱり酒を飲むなら塩と油は必須だ。
「なぁ。ドワーフにとって俺って性的に見れるか?」
「うーむ。どういう意味で聞いているんじゃ?」
ゴーティ親方がウイスキーを飲みつつ聞いてくる。
「いや、たまに自分が女性であることを忘れてな」
「綺麗な女性に見えるがなぁ」
そりゃルミナスの親であるリリスのアバターを使っているから、元から綺麗ではある。
「超越種に性欲は無いから、そこそこ綺麗とは思うんじゃが」
「え? 超越種って性欲ないの?」
初耳なんですが。
「本質的には、じゃ。いわゆる受肉して文化を覚えると、人間の真似事として性行為そのものを理解はする。じゃが、あくまで遊びの範疇であり、生物としての繁殖行為には究極的には理解しないんじゃよ」
「あくまで遊びでやっているってだけか?」
にしてはエルフの女王のマゾっぷりは堂に言ったものだったが。
「とはいえ、わしがアーゾルに欲情するのは難しいのじゃ。もうちょっとこう背筋が小さくて横幅が無いと」
「つまりドワーフの体系の女子が好みと」
「エルフには女しかいないように、ドワーフも男ばかりじゃからな。別の超越種であれば話は違うんじゃが。わしらにとっては遠い話じゃろうのう」
ぐいぐいとウイスキーを飲みながら、親方はそう結論する。
「ただし人間にとってはエルフも性欲の対象じゃ。精々捕まらんようにな」
「俺は別にいいんだが……先に謝っておく。もしもルミナスに最悪のことが起きたら、俺は世界ごと灰燼にする」
「では、その最悪にならないようにわしらは懸命に生きねばな」
ゲラゲラと笑って酒を飲むドワーフ。俺としても、その日が来ないことを願うばかりだ。
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