第2話

この奇怪な現象が、ここ、黒羽高校でみられるようになったのは今からちょうど3週間前。


「これで、本日の生徒集会を終了します」


そう言って形のいい唇に笑みを浮かべ、舞台から立ち去ろうとしているあいつ、栖原スハラ壱悟イチゴが第58代生徒会長になってからだ。


あいつが舞台から降りると、さっきまでの静けさがまるで嘘だったかのように急にあたりが騒がしくなった。


「栖原くん、かっこよかったねー」

「ほんと、男の俺でもドキドキしたよ」


集会の内容なんてお構いなし。みんながみんな、あいつについて騒ぎ立てる。


こんな光景にも、この3週間でもう慣れた。

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