第20話

繋がれてる手に視線が集まってる様で顔を上げれない私



どんな目で見られてるのか位私でも解る



憎悪と驚異と歪んだ僻みが入り交じった気持ちが篭ってる様に感じる



表立っては何かを言われるとかは無いけど、ヒソヒソと囁かれる言葉の節々には確かに蔑んだ言葉も含まれてる



良くは思われて無い



おそらく私は身体を使って悪魔に取り入ろうとする馬鹿な尻軽女にでも見えてるんだろう



そんな周りの反応に絶対気付いている筈なのに悪魔は無反応



一方神楽さんは



「おーおー、えらい歓迎やなー...まぁ、しゃぁ無いわ」



と言いながら飄々と歩いてる



割れる人海を悪魔が偉そうに歩く様は威圧感を纏いその視線も鋭く総長の顔だ



悪魔は何通りもの顔を持ってる様だ



私に接する時は妖艶な笑でニヒルに笑いながらも、その声は低く有無を言わさないとばかりの上から目線だ



それとは変わって仲間と話す時は口数が少なくピクリとも笑わない悪魔



かと思えば神楽さんとはまた違う様で、ウザがりながらも眉を寄せ一言二言は言葉を交わす



ただそれも『うぜぇ』だったり『ああ...』だったり短いモノだ



でも、これだけは解る



まだ悪 魔の事は良く解らないが、神楽さんを信頼してる事は確かな事だろう



カンッと感高い音に顔を上げると目の前に有る鉄の階段を悪魔が上がる所だった



それに続く様に登るとカンカンカンと私達三人の足音が響き渡った



そして今私の目の前には一つの黒い扉



その扉は私にとっては重々しく見えた




悪魔はノブに手を掛けながら振り返ると



「ルナ...」と呼んだ



その声に一つ瞬きしながら悪魔の顔を見上げる私



「いいか、俺の言う事は絶対だ」



""お前はYESだけ言っとけばいい""



と威圧的な声色で囁いた




「いいな?」




そう言う悪魔は私が頷くのを視線を外す事無く見つめた



そして私がコクンと頷くと満足した様に



「いい子だ」と頭に手をやり



ゆっくりとドアノブを回した

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