第19話

ルナside~



神楽さんは手を叩かれても叩かれても懲りないのか、さっきから私の頭を撫でてはニタニタと笑い、悪魔を挑発する様に空いてる手で髭を触ってる。



「嫌ぁ、サラッサラやなぁ!ルナちゃんの髪の毛!!!気持ちええわ!」




そう言っては意地の悪い笑みを浮かべてる



私は歩きながらバレ無い様に、ため息一つ吐き出した。



そして前を向くと....



「ヒッ」と、変な声を出してしまった。



いつの間にか倉庫の入口近くまで来ており、中にはカラフルな頭の男の子達



奇抜な髪型にファッション、中にはこれでもかと着崩れた制服の人まで居た



パンツが見えそうな位の腰パン



バイクを弄ってた人は汚れ放題のオイルまみれ



それでもキラキラと輝いて見える。



そんな人達の視線が一気に集まって来るから吃驚する。



ヤンチャな人達は、私に驚いたのか目を見開いてる人まで居た



でも、それも一瞬の事で次の瞬間揃えた様に



「お疲れ様です!」と、地響きがする様な大きな声で挨拶した




その声にもビクッとなる私




そんな私を見つめるツルギの視線には気付かない



そんなツルギは何かを言うでも無く無言で進んで行った



そしてそれに返したのは



「あーハイハイ、ご苦労さんっとホンマに大変やなぁ、ま、頑張りぃ」



陽気な声の神楽さんだった



私はオズオズと「お邪魔します」と小さな声で呟いた



そんな私を見つめる悪魔の姿には気付かない



遠くでボソボソと



「女......愛花さんが居るのに?」



と聞こえたけど、気付かない振りして引かれるまま足を動かした




私はその名前が誰かも解ってる



此処、月華蝶の住処



チームの護るべき存在、愛花が大切な姫だってちゃんと解ってる



私が解らないのは私の手を掴んで颯爽と歩く妖艶な悪魔だ



何を考えてるのか、どうしたいのか解らない



何の為に私は此処に連れて来られたのだろう




砦.....




私は此処に居るよ




早く....迎えに来てっ

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