第16話

「絶対そうだって!この前先代と電話で話してるの聞いちゃったし!」



えっ、電話?と思いながら顔を向ける。


私は一秒でも早く続き聞きたかったけど、黙って続きを待つ


私の聞きたかった事を聞いてくれる愁の言葉に私は特に騒がず冷静を装う



だって、私が聞いても良いけど、がっついてるって思われたくない



私はあくまで皆に望まれて月姫になりたい。



「何ですか...盗み聞きしたんですか?」と、ため息を吐く愁に、早く聞き出せよ!と思うもグッと耐えニコニコと微笑む私。



「違っ!た、たまたま聞いたんだよ!盗み聞きじゃないからなっ!!!」



「良いから続き話せよ」と続きを促したのは、口が悪い要(かなめ)




コイツは本当に口が悪い...まぁ、私以外にだけど


私にはゲロ甘だ。


まぁ、そうなる様に仕組んだんだけど?


コイツ、要が一番チョロかった


簡単に落ちて行く様はとても心地良かった


まぁ、短気なのが欠点



「あーと、何だったっけ?」



容姿は合格



「お前馬鹿か!頭弱いのか!数分前の事を忘れやがって」



タイプじゃ無いけど?


さっきから一向に進まない話しに心の中で舌打ちする



「うーん...」


「あークソ、さっさと話せ!!!」



バシッと佳の背中を叩き、それに返す佳



「痛っ!叩くな馬鹿要!!!」



じゃれ付く二人のやり取りにどうでもいいからとっとと話せよグズ



キモイ、BLの世界じゃあるまいし....と、心で思う。




苛々する心を落ち着かせるべく小さく息を吐き出した。




「喧嘩は後にして下さい!それよりツルギの電話の事です」



「あ、そうだった、なんかよ...愛花の事を言ってたんだ、姫を辞めさせるの何たらかんたら...」



あーも焦れったい!何よ、なんたらかんたらって!


これだからバカは嫌なのよ。


コイツ、佳の欠点頭が悪い所


顔は可愛い系でそこ等の不細工な女より整ってる


ま、コッチのタイプじゃ無いけど



「嫌、だから!、愛花を姫から月姫にしたいんじゃねぇかなとか!」



その言葉に思わずバッと顔を上げる私



えっ、そうか 、月姫になるには姫じゃ無くなるからその話しをしてたと?



口角が徐々に上がる。



ヤバイ顔が緩む。



胸が高鳴る



「まぁ、その線が高いですね...電話越しに男の声も微かに聞こえたし、先代かもしれませんね」



そう言った愁に私はニコニコと微笑み



「私、ツルギが来るのを下で待ってる!出迎えして来るね!」




そう言って部屋を飛び出した


頭の中で、此処の男共は格好いいし、容姿は整ってるけど、それでも......


やっぱりツルギには敵わないなって考えながら階段を降りて行く



居なくなった部屋で男達の会話は、勿論聞こえてはいない。



「あーあ、喜んじゃって、顔に出てたね?」



「誰が見ても分かり易いじゃ無いですか、愛花がツルギを好きな事位」



「あんな可愛い姿、ツルギも時間の問題じゃね?」



そんな会話の中、今まで口を閉ざして居た第四の男がユックリ目を開く



この男は寡黙で滅多に言葉を発しない、何を考えてるのか解らない男だ



男は何も言わず再び目を閉じる

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