第2話

形の良い薄い唇から覗くのは真っ赤な舌。



カタカタカタと震える私を瞳に捉えたまま、



ゆっくり......ゆっくりと



近付き



ギシッとベットが軋む音と共に近付くと、



「はぁーっ」



溜め息一つ落とし、



「脱がして欲しいのか?」



と、聞いて来た。



フルフルと顔を横に振るも、



悪魔は妖艶に微笑んだ。



そして......



「脱がないとお前が食えねぇ」



真っ赤な舌を覗かせ、ギラギラした瞳を輝かせると欲のついた瞳で私を捉えた。



その瞳を見た瞬間、


ああ、逃げられない、と思った。



「無理矢理が好みか?ヤラシイ奴...」



ギシッ、ギシッとスプリングの音を鳴らし近づく悪魔。



恐怖のあまり、歯がカチカチと鳴る、そんな私から視線を逸らさず。


音も無く、スーッと手を伸ばして来た悪魔。



潤む瞳からは大量の涙が溢れ、



それでも近付く悪魔に、



私は、意図も簡単に囚われた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る