第四章 二人で遊びに行っちゃうよ!

第31話 れーちゃんと再会したよっ!

 八月に入ると、ソフィーちゃんは学園に戻ってきた。その連絡があった次の日。あたしはめちゃくちゃ浮かれていた。


 ── とうとう、れーちゃんに会えるっ!


 嬉しくてその日の朝はいつもより早く目が覚めた。


「母さん、おはよー!」

「あら、詩雛。今日は早いわね」

「だって久しぶりにれーちゃんに会えるんだよ! 楽しみすぎて目が覚めちゃった。ヒマだから何かお手伝いするよ。何したらいい?」

「ヒマだから、ね。ふふ、まあいいわ。それじゃあお弁当に入れるおかず、レンジであたためてくれる? 温度と時間は袋に書いてあるから」

「はーい」


 小さいカップに入ったエビグラタン、からあげなんかをニ個ずつレンジに入れてあたためていく。ニ個ずつなのはもちろんあたしと父さん二人分だからだ。博物館までは父さんの車に乗せてもらって行く。そこでれーちゃんと合流することになってるんだ。


 ── 久し振りのれーちゃん、どんな感じかな? ワクワクが止まんないよっ!





 博物館の入口で待っていると、見覚えのある車が入ってくるのが見えた。


 ── ビンゴ。れーちゃんが乗ってる! 


 あたしは嬉しくてブンブン大きく手を振る。それから飛び跳ねながら大声で叫んだ。


「れーちゃん、久しぶりぃー! 元気だったー?」


れーちゃんと目が合うと、ビックリしたように目が丸くなって、それから嬉しそうに手を振り返してくれた。


「しーちゃーん、久しぶりぃ! 会いたかったよー!」


 久しぶりに会ったれーちゃんは、意外にもちょっと茶色くなっててびっくりした。れーちゃんってかなりのインドア派だから、あたしがいないときっともやしみたいにヒョロヒョロになってるんじゃないかと思ってたんだけどな。


 相変わらずのショートボブのサラサラヘアに、笑うと線みたいに細くなる瞳。油断するとすーぐ頭の中が妄想全開になって、どこ見てるのかわかんない顔になるよ。


 そんなときは問答無用に現実世界に戻してあげるのがあたしの役目だ。あたしが半袖シャツにノースリーブのパーカー、ハーフパンツなのに対して、れーちゃんは薄手の長袖パーカー(たぶんUVカットのやつ)にデニムパンツという日焼け対策バッチリの格好をしている。


 発掘現場に着いたれーちゃんは、早速瞳をキラキラ輝かせて穴の中を覗き込んでいた。


 ── これは妄想注意だよっ! 


 あたしは肘を曲げていつでも現実世界に戻せるように準備していたんだけど、ジリジリと照りつけるようなあっつい陽射しと、一向にお宝の見つかる気配がないことに先に音を上げたのはあたしの方だった。


「あぁ! もう、無ー理ー! 暑いし暑いし、土ばっかりでわけわっかんないしっ!」


 れーちゃんはもっと発掘を見ていたそうだったけど、あたしは飽きちゃったので強引に午後からは博物館に戻っておしゃべりをすることにした。待合室の端っこの方にあるベンチに腰かけていたら、スマホの着信音が鳴った。


 いつもとは違う音に、


「あれ? この音、誰からだっけ?」


 と思いながら画面を見ると、うさぎの人形の写真と『ソフィー』という文字が目に入った。


「あれ、ソフィーちゃんからだ」

「え? ソフィーちゃんって誰?」


 不思議そうに聞くれーちゃんは放置してアプリを開くと、珍しくビデオ通話ではなく普通の通話がかかってきていた。耳元にスマホを当てると、かわいい声が聞こえてくる。


「こんにちは、しーちゃん。冷たいスイーツを作ってみたの。今から来ない?」

「ええっ! うわぁ、いいなー。行きたい! でも今れーちゃんといるんだよね」

「うふふ、大丈夫よ。学園長が一緒に来てもいいって言ってたわよ。わたしもれーちゃんに会いたいな」

「ほんと? わかった。じゃ、行くから待ってて」



「ねえ、しーちゃん。行くってどこに?」


 通話を終えてアプリを操作しようとしたられーちゃんが聞いてきた。


 ── そうだ、いいこと思いついたよ!


「ふ、ふ、ふ。れーちゃんビックリすると思うよ」


 キョロキョロと辺りを見回して人がいないことを確認すると、あたしはゲートを呼び出して行き先を指定。サッとれーちゃんの手を掴むと言った。


「ディメンションズゲート、オープン!」


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