赤い月の雨雲

外も静まり返り、人々が眠りにつく静かな時間。

 自室の机の引き出しから1つのペンダントを取り出す。

 淡く赤く輝いている鉱石のペンダント。

「あの日、私は何を見たのだろうか……」


 ――アルコン本部諜報部。

「で、なんでルルさんがここに来るんですか」

「いいじゃねぇか、それに――カルタの簿持ってるんだろ?」

「いやいや、いくらハルの同僚でも流石に最高機密を明かすことはできませんて」

「いいじゃねぇかよぉ――」

 ……明かすこと出来ないでしょ、

 いくらルルさんがカルタの保護監督員だとしても、それは……無理だ。

 この計画を外に明かすことは出来ない。いや、見せられない。

 きっと、このことを知ったらルルさんどころか、ハルが動くことになる。

 それだけは、今は避けたい。

 今ハルが、元アルコン本部随一の悪魔狩りになんて来られたら……。

「無理なものは無理なんです、帰ってください。それより、あなたカルタはどうしたんですか」

「あぁ!置いてきた」

「それ規則違反じゃ……」

「良いんだよ!ハルいるし!」

 そういうことじゃないんだけどなぁ……。

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