なまくび ものがたり せんごくへん

つゆまろ

第1話なまくびあらいの おトキ

むかし むかし のちの ひとびとが せんごくじだいと よんだ あたりの おはなし

とうじは いくさにでて おのれの てがらを ほうこく するには うちとった てきの クビを みせるのが いっぱんてき だった

とうぜん あちら こちらの いくさばには クビのない したいが ゴロゴロしてた まちの なかには りょうしゅが へいみんに せんか ほうこくのため うちとった なまクビを さらして みせていた 

おとなも こどもも なまクビは みなれていて おどろきの たいしょうでは なかった

いくさで てがらを あらそう さむらいたちは おのれが うちとった クビの ひょうかを あげようと した 

おなじ なまクビでも つよそうな なまクビは ひょうかが あがり よわそうな なまクビは ひょうかが さがる これは しぜんの ことで あろう

そうなると さいしょは チのりだらけ ドロだらけの クビを りょうしゅさまに おみせするのは しつれい だという れいぎ から はじまったことが 

(すこしでも つよく みせたい)

と なまクビに けしょうを するように なった 

けしょうと いえば おんなたちの でばんである じぶんの ていしゅが すこしでも おおくの ほうびを もらえる ように にょうぼう たちは うでを ふるった 

わかいむすめは スキな おとこのために がんばった 

けしょうの うまい おんなを にょうぼうに できれば それだけ しゅっせが はやくなる おとこに とっても おんなの みきわめの ざいりょうに なった

もっとも じぶんが クビを とってくれば の はなしで じぶんが てきの おんなに けしょうされるかも しれない 

いくさ おわりの いどばたは そんな おんなたちで にぎわっていた

チカ「どうだい このクビ いいツラしてるだろう?」

シノ「わたしの だって なかなかよ」

トメ「おチカちゃんも おシノちゃんも いいクビもらったネ゙〜 ウチのみてよ」

チカ「また ひんそう だね〜」

ケイ「おトメさんの うでの みせどころ ですネ゙」

シノ「めのまわりに ベニでも さしたら」

トメ「やだよ もったいない わたしが さすよ」

チカ「あんたが クビだったら いいのにネ゙」

トメ「そうすりゃ たいしょうクビ うちとったりー て じまん できるよね」

シノ「じぶんで いう?」

おんなたちに わらいは たえない

このじだい おんなは 14〜15さいで ヨメになるのが あたりまえ で あった 

18さい ともなれば こどもの ひとり ふたりは いても おかしくない 

この なまクビを にぎやかに あらっている おんなたちも そのくらいで ある 

いまでいえば じょし ちゅうがくせい から じょしだいせい たちが にこやかに なまクビを あらっているのと おなじである

そんな にぎやかな おんなたちの いる いどばたに なまクビを 4つかかえて トキが やってきた

トメ「あーら おトキちゃん きょうは おそいね?」

トキ「ゆうべ おとうが おそくまで さけ のんでて ねむれなかったんよ」

チカ「きいたよ クマゾウさん てきの サムライだいしょう うちとったん だって?」

トキ「そうらしいけど いくさばで すぐに けんじょう したから あたしは みてないんだよネ゙」

ケイ「ごほうびが タップリ でたそうですね」

トメ「でたでた うちの ていしゅは おこぼれに あずかりに クマさんちに おしかけた もの」

チカ「おトキちゃんが ねぶそく なのは アンタの ていしゅの せいかい」

トメ「ハハハ たぶん そう」

トキは てなれた てつきで 4にんの なまクビを あらい かみを すいた そして くちを くるしげに ゆがめて いる ものは ハリとイトを つかって いちもんじに りりしく しあげ カッと めを みひらいて いるものは まぶたを はんがんに なるように かこうした そのように ととのえられた クビは みな りりしい ぶしょうの ような かおだちに なった

チカ「いつみても みごとだネ゙〜 ホレボレするよ」

ケイ「ほんとに クマゾウさんは よい むすめさんがいて あんしん ですネ゙」

シノ「まー かあさん ゆずりだね」

トメ「ホントに おユメさんは けしょうが うまかった からネ゙〜 ほんにんも びじんさんで なんで クマさんの ヨメに なったんだろ?」

トキ「おさななじみ だった らしいよ おかあ が ひとつ としうえで こどもの ころから おとうの せわしてたん だって ながねん かってる イヌみたいなんで そのまま かうことに した って いってた」

いちどう「へーーー」

そう いいながら トキは さいごの なまクビを みつめて いた そのクビを みた たの 4にんは うでぐみを して つぶやき あった

チカ「これは てごわいよ」

トメ「アタシなら みすてるね」

シノ「ひんそう だね〜 どうにも ならんよ これ」

ケイ「あきらめも かんじん かも」

トキは うでぐみを して なまクビを みつめ つづけた

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