第7話 漫画「真綿の檻」

 本作は家族内の人間関係の話だ。

 フルタイムで働きながら主婦として家事もこなしている清武きよたけ榛花はるか

 しかし夫の一広かずひろ榛花はるかの弟夫婦が訪ねていっても不愛想で家事を手伝おうともしない。

 一見すれば典型的な昭和の亭主関白だ。

 

 が、角度を変えてみれば全く違う風景が見えて来る。

 綺麗事ばかりではない親子、兄弟、夫婦の人間関係を描いたのが「真綿まわたおり」だ。

 ドロドロ具合の程度がちょうど良くて、この「榛花はるか編」はまだ楽しめた。


 次の「祈里いのり編」になると家庭内の人間関係にDVが加わる。

 漫画ならではの生々しい描写に読者がドン引きしても無理はない。


 筆者は仕事柄、数多くのDVへの介入をしてきた。

 家庭に直接に介入するのは警察や児童相談所だが、そこに持っていくために医療機関がやるべき事は沢山ある。

 まずはDVを疑うこと、診察すること、証拠写真を撮ること、記録すること、院内対策チームを招集すること、通報すること。

 そして行政が動けるように出来るだけ早く診断書を作成しなくてはならない。

 時には裁判で医師としての証言をする事もある。

 そして、なぜか法廷で加害者側弁護人に非難されてしまう。

 糾弾されるべきはそっちじゃないのか、と言いたいくらいだ。


 そんな苦労をしていても事件全体のごく一面を見ているに過ぎない。

「裏ではこんな事があったのか、想像すらできていなかった」と、この漫画を読んで思った。


 今までのところは「榛花はるか編」と「祈里いのり編」までしか読めていない。

 ここまでで全体の半分。

 幸い「〇〇編」というのは、それぞれ完全に独立している。

 だから一旦休憩している状態だ。

 心をリセットしたら続きを読んでみよう。


 これから後、「環奈編」「美月編」「光と凪編」と続く。

 どんな怖い話を読まされるのか、考えてみたら恐ろしい。


 恐ろしいけど……続きが読みたい!

 

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