第二話 キジムナー注意報
「今日は沖縄の木の精霊『キジムナー』の勉強をします。というか、既にみなさんから様々な被害報告が寄せられていますね。突然、大きな声が背後から聴こえて振り返ったら、赤い小動物のような存在が見えたが、あっという間に消え去ったとか。身に覚えのない
推定年齢三千歳で金髪碧眼の二十代ぐらいに見える魔女ベアトリス先生が、伝統的な黒い電子黒板に『木の精霊キジムナー』とタッチペン的な白い電子チョークで板書し、
『Wanted』の赤い文字が添えられている。
ベアトリス先生の今日のファッションはほぼ喪服というか、黒いスーツの上下で露出も少なく男子生徒はがっかりしていた。
ちなみに、副担任の飛騨亜礼先生は出張でいない。
この学校の先生は最前線で実際に事件を解決している現役の異能者が多いので、飛騨亜礼先生もたぶん、何かの事件のために不在なのでしばらく帰って来ないと思われる。
森の精霊キジムナーのイラストを見ると、赤い長髪で頭に小さな二本の
ベアトリス先生が話を続けた。
「ほんと、可愛いイラストですね。キジムナーは沖縄では座敷童同様に仲良くなると、魚を多くもたらしたり、家の富を与えてくれる存在でもあります。あまり関わらなければ悪戯する程度です。魚の左目が好物でキジムナーのくれた魚は左目がない。
その話を聞いて、最後列の涼介の前の席にいる
机の中に左目のない金魚の入ってると思われるカプセルが複数、隠してあるのが見える。
右隣には
「先生、じゃあ、私達はキジムナーと仲良くもせず、あまり近づくなということですか?」
黒鉄美里はこういう際の切り込み隊長としては最適な人材で、クラスの生徒全員が凍りついてる時にも迅速に動ける
黒鉄家は秘密結社〈
『鉄血にして黒鉄』と言われているように、『
ちなみに、その他に呪術や魔法などを操る『
「それは自由でいいと思いますよ。あなた方、秘密結社〈
ベアトリス先生は氷のような微笑を浮かべている。
それに加え、ベアトリス先生の構築した大深度地下施設にある超古代魔法陣にも護られていて、現代最強の科学と魔法防御を持つ難攻不落の安全な施設のひとつだと言える。
「はい、了解です。じゃあ、キジムナーと遊んでもいいんですね。良かった」
黒鉄美里は嬉しそうにしているが、涼介もその遊びに巻き込まれるのは必至な事が確定して気が重い。
「ただ、どうも、沖縄の
気のせいか、教室の温度が五度ぐらい一気に下がった気がした。
ベアトリス先生は何故か嬉しそうな微笑を浮かべている。
「いや、先生、これって、ちょっとしたデスゲームになってるんですが、その
美里の前の席に座ってる
「学校の外周の森の中に、岩で囲まれてる石が置かれてる空間のようなものがあれば、おそらく、それが
ベアトリス先生はとても上機嫌な表情で話を締めた。
声も心なしかウキウキしてるように思える。
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