明日の海

@kei0702oo

第始章【プロローグ】

海の底に、沈んだ町がある――そんな話を、誰かが言っていた。


そこには、百年に一度、強風が吹き、神が目を覚ます。


生贄を捧げなければ、町は海に沈む。


子供のころ、私はその話を「ただの昔話」だと思っていた。


けれど、本当は違った。


赤い紐が、夢と現実を結び、私は一人の少年と出会う。


その出会いが、私の運命を、私の町の未来を、静かに、そして確実に動かしていった。


これは、私が選んだ物語。


誰も犠牲にしないと、決めた物語。


過去と、現在と、未来を結ぶ――

小さな赤い紐の、記憶の物語。


私は、あの町で、確かに生きた。


たとえ、誰も覚えていなくても。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る